ママのためのぷち心理学
買い物に出かけた先で、「1980円」という値札を見ると、「2000円」よりもずっと安く感じるという経験はありませんか? これに対して、「2000円」と「2020円」の違いは、それほど大きく感じないのでは?
実は、私たちは、最初にぱっと目についた数字に惑わされてしまいやすいのです。最初の桁が「1」か「2」かによって印象が大きく違ってきます。そのため、わずか20円の違いであっても、1980 円は2000円よりも直感的には「安い!」と判断してしまいがちなの です。
心理学者であり行動経済学者でもあるトゥヴェルスキーとカーネマンは、高校生を対象とした興味深い実験を紹介しています。
2つのグループに対して、それぞれ、次のような2種類の数式を見せ、当て推量でよいので、5秒以内に急いで答えを出すよう求めました。
1つ目のグループに見せた数式:8×7×6×5×4×3×2×1
2つ目のグループに見せた数式:1×2×3×4×5×6×7×8
すると、1つ目のグループの答は、だいたい「2250」を中心に分布していました。これに対して、2つ目のグループの答は非常に小さく、「512」を中心に分布していたのです。ちなみに正解は、40320です。そもそも当て推量でこの式の答を出すこと自体、難しいのですが、それにしても2つのグループの答に、これほど大きな開きが出るとは驚きです。単に数字の並べ方が「大きい順」か「小さい順」かの違いだけなのに、このことが判断に影響したのですね。とりわけ、「小さい順」で見せられると、極端な過小評価が起こるというわけです。
このように、最初に見た数字に判断が左右されることを、心理学では、アンカリング効果と呼びます。アンカリングとは、船がある場所に錨を降ろすことを意味する言葉です。つまり、私たちが何かを判断する際には、まず、どこかに錨を降ろしておき、そこから調整していきます。ですから、どこに錨を降ろすかが判断を大きく左右するのです。
アンカリング効果は、誰にでも起こる錯覚です。買い物や契約の際には、このことを思い出し、あとで「しまった!」ということがないように注意したいものですね。
Copyright © 2011 Mikihouse child & family research and marketing institute inc. All rights reserved.
この記事にコメントしよう