ママのためのぷち心理学
「今日は寒いから、このお洋服を着ようね」
「うん!」
こんなふうに素直にママの言うことを聞いてくれた子どもたちも、イヤイヤ期に入ると、なかなかそうはいきません。
「イヤ、こっちのお洋服がいい!」
「でも、それじゃ寒いから…」
「寒くない! これ着るの!」
このように、何でも反対するようになり、ママを困らせます。でもこれは、自我が芽生えてきた証拠。ある意味、歓迎すべき成長の現れなのですが…。
反抗期の子どもに限らず、何かをしようとするとき、私たちは、選択肢の中から自分で自由に選びたいと考えます。「これでなければだめだ」と言われると、反発を感じたり、急にやる気をなくしてしまうことがあります。心理学者のツッカーマンたちは、このことを実験的に明らかにしました。彼らは幼稚園児の一方のグループには、8色のマーカーを見せて、「どれでも好きな色を使って絵を描いていいよ」と言いました。もう一方のグループには、32色のマーカーを見せて、その中から実験者が選んだ8色だけを使って絵を描くように言いました。すると、8色の中から自由に選ぶことができた子どもたちに比べて、32色のマーカーを見せられた上で8色に制限されたグループの子どもたちは、お絵描きを短い時間で切り上げてしまいました。つまり、お絵描きへの意欲が低下していたのです。
多くの選択肢(32色)があるのに、そのうちのごく一部(8色)だけを許可されるということが、自分で自由に選ばせてもらえなかったと感じさせ、子どもたちのお絵描きへの意欲を低めてしまったようです。
結局は同じ8 色であっても、自分で選べなかったという不満が、意欲低下をもたらします。逆に言えば、「自分で自由に選べた」という満足感が、子どもたちのやる気につながります。
冒頭の例に戻ると、最初から「これを着なさい」と制限するよりも、暖かそうな服を3着くらい並べて見せて、「好きなお洋服を着ていいよ。さあ、どれにする?」と持ちかけた方が、子どもたちは機嫌よく暖かい服を着てくれるでしょう。要は、子どもたちにとって「自分で自由に選べた」という満足感を味わえるよう工夫することが大切です。
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