ママのためのぷち心理学
誰かに質問をするとき、何気なく使った言葉が、相手の判断を変えてしまうことがあります。たとえば、次のような研究があります。
心理学者のロフタスは、「ひんぱんに」と「たまに」という言葉を使い分けて、次のような実験をしました。ある人たちには、「ひんぱんに頭痛が起こりますか? もしそうなら週に何回くらい?」と尋ねました。すると、回答の平均は2.2回でした。一方、別の人たちには、「たまに頭痛が起こりますか? もしそうなら 週に何回くらい?」と尋ねました。すると、回答の平均は0.7回となり、半分以下に減りました。尋ね方が判断に影響したのです。
どちらも頭痛が起こる回数を問うものですが、「ひんぱんに」と「たまに」という部分が異なるだけで、答える人の判断が変わっていたのです。
また、同様の例として、次のような報告があります。質問Aでは、「そのバスケットボール選手はどれくらい背が高いのですか?」と尋ねました。これに対して質問Bでは、「そのバスケットボール選手はどれくらい背が低いのですか?」と尋ねました。すると、「どれくらい背が高いか」という質問と「どれくらい背が 低いか」という質問とでは、なんと、答えが25センチも違っていたのです。言うまでもなく、質問の言葉につられた結果です。
私たちは、多くの場合、なんとなく直感的に判断しています。そのため、無意識のうちに相手の言葉から影響を受けます。子どもは、大人よりもさらに影響されやすいのではないでしょうか。
彼らに何かを尋ねる場合にも、「今日は楽しかった?」と「今日はつまらなかった?」では、子どもの感じ方に影響を与える可能性があります。同様に、「もっと遊ぶ?」と「もう遊ばない?」もそうですし、「もう帰りたい?」と「まだ帰りたくない?」も、子どもの判断に違いが出るでしょう。
子どもたちに「こうしてほしい」という場合には、「〜しなさい!」と強制するよりも、言い方を工夫することで、ごく自然に望ましい方向に導いてあげることができます。早く寝てほしいときには、「まだ寝たくない?」よりも、「もう寝たい?」と尋ねてあげた方がいいでしょう。
日頃から、子どもたちの気持ちをよい方向に向けるような言葉かけを探しておくといいですね。
Copyright © 2011 Mikihouse child & family research and marketing institute inc. All rights reserved.
この記事にコメントしよう