ママのためのぷち心理学
子育て中の悩みの1つは、部屋が片付かないこと。「片付けても、片付けても、子どもがすぐ散らかすんだから…」とため息混じりに言うママたち。そうですよね、この問題、なんとかならないのでしょうか?
生活評論家の故・町田貞子さんは、次のようなエピソードを披露されています。
お子さんがハイハイしていた9ヵ月くらいの頃、いつもの居場所である6畳の和室で、こんな仕掛けをされました。その和室には、タンス、本棚などが並んでいますが、タンスの一番下の引き出しを10センチほどあけて布の端をのぞかせておきました。さらに、本棚の一番下に並べてある本の1冊を少し飛び出させておいたのです。そうして、部屋の真ん中にお子さんを座らせ、後ろに座って行動を観察しました。最初は振り向いて町田さんの方に来ようとしたお子さんも、町田さんが動かないことを知って安心したようで、行動を開始しました。まずは、布端がのぞいているタンスに向かってハイハイして行き、引き出しの中に手を入れて、中にある布をせっせと引っ張り出して遊び始めます。
しばらくすると、それに飽きたらしく、本棚までハイハイで移動。本棚から1冊だけ飛び出している本を手に取ります。実は、この本にも細工がされていました。目立つように別の紙でカバーをかけて、カバーの端を少し破っておいたのです。すると、案の定、破れている穴に指を入れて、楽しそうにビリビリとカバーを破り始めたのです。
町田さんは、この観察から、次のことを発見しました。引き出しがきちんと閉まっていなかったり、本がきちんと並べられていなかったりすると、小さい子どもは興味を持ち、いたずらをしやすくなるということです。逆に、整然としたものは、子どもにとって興味がわかないので手を出さないということです。
もちろん、子どもたちがみんな町田さんのお子さんのように振る舞うとは限りませんが、むしろ、先のエピソードが私たちに語りかけてくれるのは、わが子がどんな時にどのように振る舞うのかを観察してみると、見えてくるものがあるという点ではないでしょうか。単に部屋を整頓すればよいということでなく、「わが子観察」で子どもの興味を引き出したり、子どもを危険から遠ざけたりするヒントが、けっこうたくさんありそうですね。
このように、さまざまな状況で私たちの心が気分一致効果に支配されないよう、気をつけたいものですね。
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