ママのためのぷち心理学
上手にお買い物をすることが節約につながることは、ママたちの常識。同じ品物なら、それをなるべく安く買うよう心がけることは、節約を目指すママたちの大原則ですね。
ところが、節約に関して不思議な現象があります。ノーベル経済学賞を受賞した行動経済学者のカーネマンは、次のような実験を紹介しています。(話を単純にするために、1ドルを100円として、円で値段を表すことにします。)
実験参加者に次の問題が出されました。
「あなたは今、ジャケットを12500円で、計算機を1500円で買おうとしています。すると親切な店員が、車で20分の距離にある別の支店では、あなたの買いたい計算機が1000円で売っていると教えてくれました。あなたはこの支店まで計算機を買いに行きますか?」
これに対して、7割の人が「行く」と答えました。
そこで今度は、ジャケットと計算機の値段を入れ替えて、別の実験参加者に次の問題を出しました。
「あなたは今、計算機を12500円で、ジャケットを1500円で買おうとしています。すると親切な店員が、車で20分の距離にある別の支店では、あなたの買いたい計算機が12000円で売っていると教えてくれました。あなたはこの支店まで計算機を買いに行きますか?」
すると今度は、「行く」と答えた人は3割まで減ったのです。
つまり、1500円のものが1000円になるなら、車で20分かけて遠くまで買いに行くけれども、12500円のものが12000円になる場合は、わざわざ時間と労力をかけて遠くまで行かないという人が多いということです。
この結果からカーネマンは、私たちが損得を「相対的に」判断するのだと結論づけました。簡単に言うと、同じ500円の割引でも、元値が1500円の場合より12500円の場合の方が、「お得感が減る」ということです。こうした直感的な損得の印象を、「心理会計」と呼びます。心理会 計によって、普段なら気になる数百円の差が、高い買い物では気にならなくなるのです。
車やマイホームなど、高価な買い物をする際には、すっかり気が大きくなって、日頃のスーパーでの節約意識がどこかに吹き飛んでしまった、ということがないよう気をつけたいものですね。
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