ママのためのぷち心理学
子どもたちは、少し知恵がついてくると、何かを買ってほしくておねだりするときに、よく次のセリフを言います。「みんな持ってるよ〜。持ってないの、〇〇ちゃん(自分の名前)だけだよ」
すると、「えっ、そうなの? それじゃあ、買わなきゃね」とすんなりおねだりを受け入れるママもいるでしょう。
一方、手慣れたママたちは、次のように返すかもしれません。「ウソ言うんじゃありません。みんなが持ってるはずないんだから。みんなって誰? さあ、言ってごらん!」
こうなると、結果は、たぶんママの圧勝。ママに言い負かされた子どもは、しぶしぶ引き下がるでしょう。心から納得はしていなくても。
さて、こうした場合、子どもはウソをついたのでしょうか?
実はそうとは言い切れないのです。なぜなら、大人も子どもも含めて、私たちには、自分の期待や予想に合う事実にばかり注意が向き、期待や予想に合わない事実には注意が向きにくいという傾向があるのです(こうした傾向を、心理学では「確証バイアス」と呼んでいます)。その結果、「やっぱり、自分の思っていた通りだった」と思い込みを強めてしまいます。
先ほどの例では、自分のほしいものを、お友だちのユイちゃんも、アキナちゃんも、それからシュウくんも持っていたなら、「みんな持ってる」と思い込んでしまうわけです。子どもにとって、3人ものお友だちが持っていれば、もう十分「みんな」と呼べます。持っていないお友だちのことは、意識にのぼりません。というわけで、子どもたちは、必ずしも「ウソ」をついているわけではないのです。「ウソ!」と頭から決めつけない方がいいでしょう。
むしろ、ここでのポイントは、子どもに何かを買い与えるかどうかを、みんなが持っているかどうかだけで決めてしまわないことでしょう。仮に、本当にお友だちがみんな持っていたとしても、「みんなが持っている」というだけでは、何かを買う理由にならないということを、子どもたちに少しずつ理解させてあげてはいかがでしょう。
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