ママのためのぷち心理学
「自分を大切にする子に育ってほしい」ママなら誰しもわが子に望むことでしょう。それは、「どうせ私なんかダメ」と自暴自棄に陥ったりせず、自分をかけがえのない存在とみなして大切に思うこと。けっして利己的という意味ではありません。では、自分を大切に思う心は、どのように形成されるのでしょうか?
心理学では、自分を価値ある存在として大切に思う心を「自尊感情(セルフエスティーム)」と呼びます。ある程度大きくなると、「僕は野球が得意だから」「私はピアノが上手だから」など、実際に自分がうまくできることを根拠として自分の価値を認め、高い自尊感情を持つことができます。でも、幼い子どもは、まだそのように考える力が発達していません。しかも、幼児期には、自分の得意不得意などを自分で判断する機会もほとんどないことでしょう。それでは、幼児は自尊感情とは無縁なのでしょうか? いいえ、そうではありません。一般に、自尊感情の高低がはっきりと現れてくるのは児童期に入ってからですが、その下地は、幼児期に作られます。幼児期に、親からほめられたりけなされたりする経験が土台となるわけです。ハーターという心理学者は、幼児期に自分が受けた親からの評価を、子どもたちが自己評価に取りこむことを明らかにしています。
「○○ちゃんは、おりこうだね」「○○ちゃんは、いい子だよ」と言われて育った子どもと、反対に、「本当にダメな子」「バカな子」と言われ続けた子どもの間には、自尊感情において、はっきりとした差が生じることでしょう。このように、親の言葉が、自分を価値ある存在として大切に思えるかどうかに大きく影響するのです。
もちろん実際には、年中子どもをほめているわけにもいきません。いたずらやよくないことをしたら叱らなければなりませんし、ママだって虫の居所が悪い時もあるはずです。でも、怒りにまかせて子どもを叱るのではなく、できれば一呼吸おいてから、「子どもの人格を否定する叱り方だけはやめておこう」と冷静さを取り戻す、そんな余裕を持ちたいものですね。
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