ママのためのぷち心理学
子どもが悪いことをしたために罰を与える場合、たいていの大人は、罰の与え方について慎重になりますね。
「でも、子どもがよいことをした時に、ごほうびをあげるのなら、まったく問題はないはず」
そう思っているママたちは多いのでは? ところが、必ずしもそうではありません。心理学者のレッパーたちの研究を紹介しましょう。
3〜5歳児で、絵を描くことが好きな保育園児たちを2つのグループに分けます。第1グループの子どもたちには、よく描けたらごほうびをあげると約束します。ごほうびは、金色の星と赤いリボンの飾りがついたかっこいい賞状です。子どもたちは、大喜びで絵を前よりたくさん描くようになりました。ただし、枚数は増えたものの、絵の質は少し下がりました。一方、第2グループには、小さい子が絵を描くところが見たいので、絵を描いてほしいと頼みます。その子たちは、普通に絵を描きました。
そして、問題は、その後です。1〜2週間後(もう、ごほうびはありません)、自由遊びの時間に子どもたちが何をして遊ぶかを観察しました。すると、第2グループの子どもたちは、前と同じように楽しそうに絵を描いていましたが、ごほうびをもらった第1グループは、以前ほど絵を描かなくなっていたのです。あんなに好きだった絵を描くことに、興味をなくしたようでした。いったい、これは、どうしたことでしょう?
実は、ごほうびを期待して絵を描くことは、ごほうびのない状態で絵を描くことへの意欲を低下させる場合があるのです。せっかく好きで自発的にやっていたことに、わざわざごほうびを与えられると、「自分は、ごほうびがほしくて、これをやっているんだ」と錯覚してしまうのかもしれませんね。だから、ごほうびをもらい続けているうちはまだしも、ごほうびがもらえなくなると、急にやる気をなくしてしまうのでしょう。
こんなことにならないように、子どもが好きでやっていることには、ごほうびよりも言葉でほめてあげるといいでしょう。子どもが悪いことをしたために罰を与える場合、たいていの大人は、罰の与え方について慎重になりますね。
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