ドクターニュース
風薫る5月になりました。この時期は日中の気温が上がってきて、あせもやとびひなどの皮膚のトラブルが増えてきます。外遊びで汗をかいた後は、シャワー浴で皮膚を清潔にしておきましょう。また日中の気温の上昇に伴い、食中毒が増えてくる時期です。行楽に手作りのお弁当を持って行く際には、食中毒に気をつけましょう。
さて、全国の定点医療機関からの報告1)によると、第17週(4月20日~4月26日)までの手足口病の定点当たり報告数は1.06人と、3週連続で増加し、例年より多い傾向が続いています。都道府県別では島根県4.26人、鳥取県4.16人、佐賀県3.04人の順となっています。主な検出ウイルス2)はコクサッキーウイルスA16 で、手足口病の原因ウイルスとしては一般的なウイルスです。
また伝染性紅斑(りんご病)の定点当たり報告数も昨年同時期の約3倍の0.78人、都道府県別では滋賀県2.13人と、流行警報レベルの定点当たり2人を超えています。手足口病は、通常は夏に流行する感染症として知られていますが、昨年末から全国的に患者数の増加がみられており、今後の流行状況に注意が必要です。また伝染性紅斑は5年前後の周期で流行することが知られており、今年は流行年となることが懸念されます。
ヒトパルボウイルスB19によっておこる感染症です。感染すると頬にはっきりした紅斑(りんごのほっぺ)が出現し、続いて手・足に網目状・レ−ス状の発疹がみられます。お腹や背中にもこの発疹が出現することがあります。これらの発疹は1 週間前後で消失しますが、なかには長引いたり、一度消えた発疹が短期間のうちに再び出現することがあります。成人がかかると関節痛・頭痛などを訴え、関節炎症状により1〜2日歩行困難になることがあります。発疹が現れた時には移る時期を過ぎており、感染力はほぼ消失しているため、発疹が出ていても元気であれば登園・登校しても差し支えありません。ほとんどは合併症なく治りますが、まれに血液系の合併症をおこすことが知られています。伝染性紅斑にかかった後に急に元気がなくなる、顔色が悪くなるなどの症状が出た場合は、医療機関を受診してください。また、妊婦さんがかかった場合には、胎児に合併症がおこることがあります。
1)国立感染症研究所感染症発生動向調査 週報(IDWR)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/idwr.html
2)国立感染症研究所病原微生物検出情報(IASR) 手足口病 2015年4月28日現在
http://www.nih.go.jp/niid/images/iasr/rapid/natsu/teashi/150428/teashinen_150428.gif
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