ドクターニュース
11月になりました。立冬が過ぎ、暦の上ではもう冬とされていますが、日中は汗ばむ陽気の時もあり、衣類による体温調節に注意が必要な時期でもあります。エアコンを使用するようになると湿度の低下からアトピー性皮膚炎が悪化しやすいので、肌の弱い方は、今のうちからしっかりと保湿ケアを行いましょう。
さて、第45週(11/2~11/8)の全国3000か所の小児科定点医療機関からの報告1)によると、報告の第1位は感染性胃腸炎で、福井県(14.5人)、鳥取県(13.8人)宮崎県(13.6人)、鹿児島県(13.4人)と続きます。検出ウイルスはノロウイルスが大多数です。大流行のあった平成22年、平成24年に比べて立ち上がりは遅いため、今シーズンは大きな流行にはならない可能性が高いのですが、定点あたり報告数の多い都道府県の方は、今後の流行状況にご注意ください。
インフルエンザは4週連続で増加していますが、流行開始基準である定点あたり1人を超えているのは沖縄県のみで、まだ流行入りというほどではありません2)。検出ウイルスはAH3(香港型)が最多で、次いでAH1pdm09(2009年に新型と呼ばれたもの)で、合計で約8割を占めています。
ノロウイルスはもともとカキなどの2枚貝に存在するウイルスです。ノロウイルスに汚染された食品の摂取(カキの生食が有名ですが、どちらかというと感染した人の便や吐物に汚染された食品を介してのことが多いといわれています)や、感染した人の便や吐物に接触することで感染します。ノロウイルスは少量(18~1000個程度)のウイルスでも感染が成立することが知られていて、1gの便中には106~1012個のウイルスが存在するといわれていますので、ごくごく少量の汚物でも感染を起こしてしまいます。このように、ノロウイルス性胃腸炎はとても感染力が強いのが特徴で、毎年この時期に、多数の子どもが胃腸炎にかかったり、また老人ホームなどの施設などで集団発生を起こしたりします。
感染予防の基本は手洗いです。外出後や調理前の手洗いを励行しましょう。吐物や便を処理する際には手袋をつけ、直接触らないようにします。ふき取りには使い捨てのペーパーと次亜塩素酸ナトリウム(ハイター・塩素系漂白剤)を使用します。汚染された衣類は市販の漂白剤を20倍に薄めた液につけ置きし、別洗いしましょう。次亜塩素酸ナトリウムはスプレータイプのものも市販されており、便利に使用できます。
食品はよく過熱することで、感染の危険性を下げることができます。特に2枚貝は注意が必要ですので、よく過熱してから食べましょう。
1)国立感染症研究所:感染症発生動向調査 45週週報(IDWR)
http://www.nih.go.jp/niid/ja/data/6078-idwr-sokuho-data-j-1545.html
2)厚生労働省:インフルエンザの発生状況について:
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000104088.pdf
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