ドクターニュース
中国で4月から発生が続いている鳥インフルエンザH7N9ですが、先日、台湾でも発症者が見られ、初の中国国外感染事例となりました。中国で初の患者が見つかって1か月もたたないうちのことであり、昨今の国際化時代ですので、感染者の拡大が心配されます。
今回見つかったH7N9は、今まで人に感染することが知られていなかったウイルスです。4月1日に初めて中国で人への感染が確認されました。3つの種類の鳥インフルエンザの混合(遺伝子組み換え)のウイルスといわれており、ウイルスが遺伝子組み換えする際に、人への感染しやすさを獲得したと思われます。死亡率が高く、強毒性の可能性もあると考えられていますが、死亡したのは、基礎疾患のある人が多く、強毒性かどうかはまだはっきりしていません。
感染した鳥との濃厚接触で起こるとされ、今のところ、鶏卵や鶏肉を食べて感染した事例はありません。また、人から人へうつる事実も確認されていません。ですが、感染経路についてはまだわからないところもあり、今後の発表を待つほかないようです。
現在、空港などでいわゆる「水際作戦」が取られており、中国や台湾から帰国した人で発熱や体調不良がないかを問診し、10日以内にインフルエンザ様の症状があった場合、すぐに医療機関を受診するよう求めたカードが配られています(強制ではありません)。
しかし、潜伏期間の人が帰国してきた場合は、帰国時には無症状ですので、当然ながら検疫をすり抜けることになります。したがってH7N9が国内に上陸するのは、時間の問題だと思われます。これを受け、政府は5月6日、H7N9を「指定感染症」とする法令を施行します。これにより、患者の強制的な入院や就業制限が可能になります。また政府はH7N9を空港などの検疫所で入国者らの診察や検査ができる「検疫感染症」にする検疫法の政令改正も決定しました。同じく5月6日に施行されます。5月6日というのは、ゴールデンウイークで中国や台湾から帰国する人に適用するためです。
感染した人だけでなく、渡り鳥などを介してウイルスが上陸する可能性もありますので、(現在、国内でも鳥類に対するスクリーニング検査が行われています)死んだ鳥などには絶対に触ったりしないようにしましょう。
また、中国や台湾に旅行される予定の人は、現地で不用意な動物との接触を避け、帰国後10日以内に体調不良を感じた場合は、最寄りの保健所に連絡をしましょう。
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