ドクターニュース
早いもので、今年も残すところ2週間と少しになりました。この時期は、大人は忘年会、子どもはクリスマスパーティなど、楽しいイベントが多い時期でもあります。暴飲暴食や睡眠不足を避け、楽しい外出の後はしっかりと手洗い、うがいを行い、元気によいお年をお迎えくださいね。
さて、第49週(12月2日~12月8日)の全国約3,000の小児科定点医療機関からの報告1)によると、感染性胃腸炎は前週比27%と増加が続いています。都道府県別では埼玉県を筆頭に、群馬県、東京都で警報レベル(定点あたり20)を超えています。年末にかけて、流行はピークを迎えると思われ、いっそうの注意が必要です。
インフルエンザは前週比53%増と急増しました。佐賀県を筆頭に、鹿児島県、山口県、高知県など11の都道府県で流行開始の基準である定点あたり1を超えましたが、本格的な流行の拡大は年明けになると思われます。今後の動向にご注意ください。RSウイルス感染症は横ばいでした。
ノロウイルスはもともとカキなどの2枚貝に存在するウイルスです。ノロウイルスに汚染された食品の摂取(カキの生食が有名ですが、どちらかというと感染した人の便や吐物に汚染された食品を介してのことが多いといわれています)や、感染した人の便や吐物に接触することで感染します。ノロウイルスは少量(18~1000個程度)のウイルスでも感染が成立することが知られていて、1gの便中には106~1012個のウイルスが存在するといわれていますので、ごくごく少量の汚物でも感染を起こしてしまいます。このように、ノロウイルス性胃腸炎はとても感染力が強いのが特徴で、毎年この時期に、多数の子どもが胃腸炎にかかったり、また老人ホームなどの施設などで集団発生を起こしたりします。
おう吐をした場合、30分ほど様子を見てから、経口補水液の投与を開始します。最初はペットボトルのキャップ1杯程度飲ませ、10分後に2杯、さらに10分後に3杯・・と増量していきます。この方法で飲ませると、おう吐しても補水液の一部は吸収されますので、おう吐をしても最初からまた根気よく飲ませます。固形の食べ物はおう吐してしまうことが多いので、やめておきましょう。おう吐はだいたい半日ほどでおさまります。おう吐がおさまり下痢だけになったら、さらに経口補水液を好きなだけ飲ませます。目安としては、1回下痢をするたびに50ml(赤ちゃん)~100ml(子ども)は飲ませるようにします。おなかがすいてきたら、ミルクや消化の良い食べ物を与えても大丈夫です。
最初に述べたように、汚物を介する感染がほとんどですので、外出後の手洗い、うがいをしっかりおこないましょう。おう吐物や便は薄めた塩素系の洗剤(クレベリン等、専用の消毒剤が市販されています)を用いて紙でふきとり、そのままビニール袋に密閉して、ベランダなど室外に出しましょう。アルコールは効果がありません。室内に残った乾燥した汚物の粉末を吸い込んで感染を起こすことが知られており、汚物は室外に出すことが大事です。汚染された衣類などは塩素系の洗剤につけておき、別洗いして日光消毒を行います。
1)国立感染症研究所感染症発生動向調査 週報(IDWR)
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