ドクターニュース
ノロウイルスはもともとカキなどの2枚貝に存在するウイルスです。ノロウイルスに汚染された食品の摂取(カキの生食が有名ですが、どちらかというと感染した人の便や吐物に汚染された食品を介してのことが多いといわれています)や、感染した人の便や吐物に接触することで感染します。ノロウイルスは少量(18~1000個程度)のウイルスでも感染が成立することが知られていて、1gの便中には106~1012個のウイルスが存在するといわれていますので、ごくごく少量の汚物でも感染を起こしてしまいます。このように、ノロウイルス性胃腸炎はとても感染力が強いのが特徴で、毎年この時期に、多数の子どもが胃腸炎にかかったり、また老人ホームなどの施設などで集団発生を起こしたりします。
おう吐をした場合、30分ほど様子を見てから、経口補水液の投与を開始します。最初はペットボトルのキャップ1杯程度飲ませ、10分後に2杯、さらに10分後に3杯・・と増量していきます。この方法で飲ませると、おう吐しても補水液の一部は吸収されますので、おう吐をしても最初からまた根気よく飲ませます。固形の食べ物はおう吐してしまうことが多いので、やめておきましょう。おう吐はだいたい半日ほどでおさまります。おう吐がおさまり下痢だけになったら、さらに経口補水液を好きなだけ飲ませます。目安としては、1回下痢をするたびに50ml(赤ちゃん)~100ml(子ども)は飲ませるようにします。おなかがすいてきたら、ミルクや消化の良い食べ物を与えても大丈夫です。
最初に述べたように、汚物を介する感染がほとんどですので、外出後の手洗い、うがいをしっかりおこないましょう。おう吐物や便は薄めた塩素系の洗剤(クレベリン等、専用の消毒剤が市販されています)を用いて紙でふきとり、そのままビニール袋に密閉して、ベランダなど室外に出しましょう。アルコールは効果がありません。室内に残った乾燥した汚物の粉末を吸い込んで感染を起こすことが知られており、汚物は室外に出すことが大事です。汚染された衣類などは塩素系の洗剤につけておき、別洗いして日光消毒を行います。
1)国立感染症研究所感染症発生動向調査 週報(IDWR)
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