2012年3月 2日
インフルエンザの流行はA香港型からB型にシフト
5年ぶりの大流行となったA香港型インフルエンザですが、2月上旬をピークに患者数は減り続けています。2月後半からの流行は、本格的にB型優位の状況になってきています。
A型インフルエンザにかかり、ようやく元気に登校や登園できるようになったのに、すぐにB型にかかってしまい、再び欠席というお子さんも多いのではないでしょうか。
B型インフルエンザは、A香港型に比べると爆発的に流行することは少ないようですが、流行のピークもはっきりせず、いつまでも流行が続くこともあります。昨シーズンのように、ゴールデンウィーク頃まで流行することになるかもしれません。
インフルエンザワクチンは効かなかったの?
ワクチンは受けていたのに・・・と、少々割り切れない気持ちの保護者の方も少なくないかもしれません。今シーズンのワクチンは、流行したウイルスのタイプと合っていなかったので、効かなかったという報道もされています。
でも、これも正しい情報とは言えないのです。日本で使われている注射のインフルエンザワクチンは、インフルエンザにかからないようにできるワクチンではありません。
だから、インフルエンザにかかってしまったからといって、ワクチンに効果がなかったと結論づけることはできないのです。インフルエンザワクチンでは、効いたか、効かなかったかを、確実に判定することは本当にむつかしいんですよ。
健康面の入園、入学の準備は進んでいますか?
さて、4月から入園、入学のお子さんのいるご家庭ではその準備に忙しいことでしょう。小児科医からのアドバイスとして、制服やランドセルなどを用意することと同じように、健康面での準備も万全にして欲しいと思います。
健康面での準備として、一番重要なのが予防接種です。さあ、母子保健手帳を出してきて、予防接種の記録をあらためて確認しておきましょう。
保育園や幼稚園に入園する小さなお子さんでは、三種混合(ジフテリア・破傷風・百日せき)、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンの接種は、きちんと必要な回数を完了していますか?
1歳になっていたら、MR(麻しん・風しん)だけでなく、みずぼうそうやおたふくかぜのワクチンも大切です。保育園に入ったとたんにかかってしまい、すぐに1週間以上お休みということも少なくありません。
小学校に入学するお子さんでは、MR(麻しん・風しん混合)ワクチンの2回目の接種を忘れていませんか?公費での接種期限は3月末までです。まだ受けていなかった、忘れていたという人は、一日でも早く受けるようにしましょう。
予防接種は接種期間のスタートダッシュが肝心
でも、予防接種で本当に大切なことは、接種期間ぎりぎりのラストスパートではありません。接種できる時期が来たらすぐに接種するという、スタートダッシュです。
無料の期間に接種するのだったら、いつ受けても一緒では?意外とこのように考えているお母さんやお父さんが多いんですね。
でも、これは大きなまちがいです。ワクチンで防げる病気にかからないように予防接種をするのですが、いつかかるかは誰にもわかりません。だからこそ、できる時期がきたらすぐに接種することが必要なのです。病気は待ってくれませんよ。
ワクチンデビューは生後2か月の誕生日
子どもがかかる感染症の中で一番おそろしいのは細菌による髄膜炎。細菌性髄膜炎のおもな原因であるヒブ菌と肺炎球菌が、子どもたちのノドに住みついてしまわないようにするワクチンが、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンです。
とりわけ、集団生活を開始すると、これらの細菌はお子さんのノドにすぐに住みついてしまいます。いったん住みついてしまったら「常在菌(じょうざいきん)」と呼ばれますが、子どもにとっては本当に迷惑な話です。
ヒブ菌や肺炎球菌が「常在菌」にならないように、ヒブワクチンと小児用肺炎球菌ワクチンは、生後2か月の誕生日になったらすぐに受けるようにしてください。
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