ドクターニュース
例年なら秋から冬に流行するRSウイルス感染症が、今年は初夏から流行し始めています。すでに増加の傾向がみられていますが、インフルエンザが流行するまでは、RSウイルスは優勢ですので、今年は2010年のような大きな流行になるかもしれません。
RSウイルス感染症は、ほとんどのお子さんが2歳頃までには一度はかかります。高い熱が数日続き、息をするときにゼーゼーという音が聞こえたり、タンのからんだセキが長く続いたりします。
何回もかかる病気ですが、症状は次第に軽くなっていきます。年長児や大人では普通のカゼとほとんど変わりません。しかし、乳幼児がかかると、気管支炎や肺炎など重症になりやすいのです。
特に生後6か月までの赤ちゃん、未熟児で特別に小さく生まれた赤ちゃん、心臓や肺に病気のあるお子さんなどでは、数時間のうちに呼吸状態が悪化して、入院が必要となることもあるので注意が必要です。
2歳くらいまでの乳幼児で上のような症状があれば、小児科医はRSウイルス感染症を疑います。しかし、同じような症状の病気は他にもたくさんありますので、診察だけで正確に診断することは困難です。
RSウイルス感染症を疑うときには、鼻みずをとって迅速検査をします。陽性(+)の結果が出れば、ほぼ間違いありません。症状の悪化を防ぐために、より慎重に経過を診ていくことになります。
息をするのが苦しくならないよう、こまめに鼻みずを吸い出すことが大切です。鼻みずをへらす目的で使われるクスリ(抗ヒスタミン薬)が症状を悪化させることもあります。ウイルスの病気ですので抗生物質は効きません。正しい診断をつけることで、必要のないクスリを少しでも使わないようにできます。
なお、健康保険で検査のできる年齢などが決まっていますので、すべてのお子さんに検査ができるわけではありません。
何度もお伝えしてきましたが、風しんが依然として流行しています。2008年から、風しんは患者の全員を報告する制度になりましたが、今年は初めて1,000名を超えました。この数字は、昨年の同時期の3.6倍にあたります。また2011年の年間患者数が371名ですので、どれだけ多いかも分かっていただけると思います。
はじめは大阪府、兵庫県など関西地方が流行の中心でしたが、徐々に東京都や神奈川県など関東地方に飛び火し、愛知県、沖縄県、福岡県などでも患者数が増えてきています。男女別では、男性4:女性1で、20代から40代の男性に多いのが特徴です。
風しんは、妊娠初期の妊婦がかかると、おなかの赤ちゃんの心臓、目、耳などに障害を残すことがよく知られています。先天性風しん症候群という病気ですが、生まれてくる赤ちゃんにとっては、一生のハンディキャップになるため、何としても風しんの流行そのものを防がなければなりません。
風しんの予防には、ワクチン接種が有効です。いえ、ワクチン接種以外に確実な予防方法はありません。今までに風しんワクチンを受けたことがないという40代までの人は、できるだけ早く予防接種を受けておきましょう。特に近くに妊婦さんのいる場合はなおさらです。
ワクチンには、風しんだけの単独ワクチンと、麻しんとの混合ワクチン(MRワクチン)があります。40歳までの方で麻しんにかかったことがないという場合は、麻しんの免疫も確実にしておく方が良いので、麻しん風しん混合ワクチン(MRワクチン)での接種をおすすめします。
かかったかどうか分からない場合は、ワクチンを接種しておいた方が安全です。麻しんや風しんにかかったことがあっても、ワクチン接種で副反応が強くなることはありません。また、ワクチン接種によって、妊婦さんも含め他の人に病気をうつすことはありません。安心して接種を受けるようにしてください。
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