ドクターニュース
ロンドンオリンピックが閉幕しました。2週間するとパラリンピックも開催されます。世界中のアスリートのパフォーマンスにはただただ驚嘆するばかりでした。でも、寝不足で体調をくずしたという人も少なくないのでは?
さて、長かった子どもたちの夏休みもあと少しですね。小児科の待合室もお休みモードです。来院されるお子さんもぐっと減っています。夏休みで子どもの感染症が減っているからです。集団で過ごす時間が短くなると、病気をうつしたり、うつされたりすることが少なくなるのです。
沖縄ではインフルエンザが流行しています。7月はじめから患者数が増え始め、8月も報告数の多いレベルが続いています。保育園児から中学生の小児に多いようで、流行しているウイルスはA香港型が主流です。
インフルエンザって冬の病気じゃないの?と変に思われるかもしれませんね。でも、亜熱帯地方では夏のインフルエンザ流行はめずらしいことではありません。
夏に沖縄や台湾などを旅行された人で高熱が出たという場合は、インフルエンザということも十分にありえます。インフルエンザだけに限りませんが、どこそこを旅行していたということは、病気を正しく診断するための大切な情報です。医療機関を受診する際には、ぜひお医者さんに伝えてくださいね。
夏といえば蚊、蚊といえば日本脳炎を連想します。日本脳炎は現在でも治療法のない、とても危険な病気です。発症してしまうと20~40%は死亡し、45~70%で重い後遺症が残ります。ウイルスを持つコガタアカイエカに刺されることで、日本脳炎にかかってしまいます。ただし、人から人へうつる病気ではありません。
日本脳炎は1970年頃までは国内で年間1,000~5,000人がかかり、1,000人~2,000人が死亡していました。小児と高齢者の患者が多かったため、1967年から国の特別対策として、この年代への予防接種が本格的に導入されました。
1970年代から患者数は急速に減少し、現在は年間10名以下で推移しています。日本脳炎が減った理由としては、予防接種のほかに、コガタアカイエカの減少や、ブタの飼育環境の変化などが考えられています。
国内では1991年から2005年までの15年間で子どもの患者は1人だけでした。子どもにとって日本脳炎は過去の病気になるのかとも思われましたが、2006年以降の6年間で6人と急に増えました。この間にあったことといえば、2005年から5年間も続いた、日本脳炎定期接種の事実上中止という事態です。子どもたちの接種率が大幅に低下してしまったのです。
日本脳炎の定期接種は、標準的には3歳から受け始めます(制度としては生後6か月から可能)。日本脳炎は夏から秋の病気ですので、まだというお子さんは、今からでも受けるようにしてください。
新学期が始まると、授業やクラブ活動でなかなか時間が取れないかもしれません。ぜひ夏休み中に、残っている予防接種を受けておきましょう。
3歳以上のお子さんは、日本脳炎のワクチンを。最初の年に2回、翌年に1回の合計3回です。
保育所や幼稚園の年長クラスのお子さんは、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)2期は済んでいますか。
9歳以上なら、日本脳炎の2期です。日本脳炎の予防接種としては4回目の接種です。
11歳、12歳の小学校高学年では、ジフテリアと破傷風の二種混合がまだという人が多いですね。
中学1年と高校3年年代なら、MRワクチン(麻しん風しん混合ワクチン)をできるだけ早く。
女子では、ヒトパピローマウイルスワクチン(いわゆる、子宮頸がん予防ワクチン)も忘れずに。半年の間に3回接種です。
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