ドクターニュース
先月も紹介しましたが、風疹の流行が続いています。すでに昨年の年間報告数を超え、同じ時期の約2倍の数字となっています。兵庫県、大阪府、京都府、福井県、滋賀県など近畿地方に多いのですが、他の地域でも増えていきそうな気配です。
20歳以上の男性だけで全体の約3分の2を占めています。20代、30代の人たちは家庭や職場などで、妊婦さんや妊娠可能な年代の女性と一緒になる機会が多いので、本当に要注意です。妊娠初期の妊婦さんが風疹にかかったら、おなかの赤ちゃんの眼や耳や心臓に障害をおこすことがあるからです。
今までにワクチンを1回も受けていない人、風疹にかかったことを血液検査で証明していない人は、一日も早くMR(麻しん風しん混合)ワクチンか、風疹ワクチンを受けてください。
また、保育園や幼稚園の年長クラスのお子さんや中学1年生、高校3年生年代の人は、今年度のMRワクチンの定期接種の対象者です。やはり、一日も早くMRワクチンを受けてください。
夏カゼとは、突然の高い熱や、のどや手足のブツブツが出るような病気をひとくくりにする呼び名です。インフルエンザに代表される冬のカゼと違い、セキやハナが増えることはあまりありません。
夏カゼの代表は、何といっても、手足口病とヘルパンギーナです。手足口病は、名前のとおり、手のひらや足の裏の小さなブツブツや、ほっぺの内側にたくさんの口内炎ができる病気です。熱は出ない場合もありますし、ブツブツは痛みやかゆみを伴わない場合が多いようです。
ヘルパンギーナでは、急に高熱が出て、のどの一番奥に口内炎ができまる病気です。熱のためにひきつけることもあります。熱は2日程度で下がることが多いようですが、口内炎のために、飲んだり食べたりするのを嫌がるお子さんもいます。
どちらの病気も、原因となるウイルスがたくさんあるので何回もかかります。特効薬はありませんが、自然に治る経過のよい病気です。熱や痛みをやわらげるために、痛み止めを使うこともありますが、一番大切なことは、おうちでのきめ細やかなケアです。口当たりがよく、口内炎にしみないようなものをあげてください。少しずつでもかまいませんから、繰り返し水分をあげて、脱水を防ぎましょう。
暑い日が続いていますね。幼稚園や保育所に通うお子さんにとって、水遊びやプールは楽しみな活動です。でも、毎年この時期になると、水いぼがあるので取った方が良いでしょうかという相談が多くなります。
水いぼはウイルスによって起こります。ウイルスの感染力が弱いため、大流行することはありません。ちなみに感染力の強い病気では、一気にほぼ全員がかかり、その後の数年は誰もかからないという流行パターンを、何年かごとに繰り返します。
水いぼがあっても、痛くもかゆくもないことがほとんどです。お子さんにとってはつらくありません。もともと湿疹があると、少しかゆがることはありますが、それ以外はお子さんに不都合のないものです。何もしなくても、水いぼウイルスに対する抵抗力がつく1~2年の間に自然に消えてしまいます。園での水遊びやプールも、ビート板やタオルを共用しない限り、差し支えないとされています。
ということで、私のクリニックでは、かゆみが強くなければ、何もする必要はないと説明しています。かゆみが強い場合は、かゆみをやわらげるために、ぬり薬を出すことはあります。しかし、ピンセットでいぼを取ったり、漢方薬を出すことはしていません。
夏は食中毒の多発する季節です。食中毒を起こす細菌にとって格好の繁殖期だからです。肉や卵を生で食べることは小さなお子さんにはおすすめできません。
焼き肉店では、牛の生レバーを出せなくなりました。規制が厳しくなったとはいえ、子どもにユッケは危険です。焼き鳥店でささみのタタキや生レバーを食べるのも考えものです。卵かけごはんやざるそばについてくるウズラの卵だって、立派な生ものです。
生の肉や卵には、大腸菌O157だけでなく、カンピロバクターやサルモネラといった、食中毒を起こす細菌が付いている可能性が高いからです。子どもは、大人に比べると、細菌の量が少なくても病気を起こしてしまうことも知っておいてください。
一般的には、以下の点に注意して、食中毒を防ぐようにしましょう。 ①新鮮な食材を選ぶ、②食材の保管は冷所で、③新鮮なうちに調理、④手や調理器具を清潔に、⑤よく加熱する、⑥調理したらできるだけ早く食べる。
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