ドクターニュース
感染性胃腸炎の流行が続いていると報道されていますが、流行の勢いもやや収まりつつあるようです。検出されている病原体のほとんどはノロウイルスですね。感染力がとても強く、子どもだけでなく大人もかかりますので、家族全員が吐いたりゲリをしたりしているケースも少なくありません。
小さな子どもでは脱水症に注意しましょう。吐き気の強い間はすぐに飲んだり食べたりできませんが、2、3時間たてばたいていはおさまってきます。子ども用のイオン飲料などをスプーンで少しずつ増やしながら与えていくと、うまくいくことが多いようです。乳製品は控えましょう。水分がとれるようになれば、そろそろ食事も再開できますが、おかゆ、うどんなど炭水化物のものを与えるとよいでしょう。
高齢者施設での死亡のケースが報道されていますが、寝たきりのお年寄りでは吐いた物をのどに詰まらせしまいます。ロタウイルスに比べるとゲリの程度が軽いことが多いので、乳幼児ではそれほど心配することはありません。
12月に入ってインフルエンザの患者さんが増えてきています。全国約5,000か所の医療機関からの集計では、1医療機関当たりの報告数が12月10日から16日の週で1.17となり、流行シーズン入りの目安となる1を超えました。流行入りの時期は例年並みの様子です。
地域別では、佐賀県、群馬県、沖縄県が多いようです。患者さんから検出されるウイルスはほとんどがA香港型です。このまま増加の一途をたどるかどうかはわかりませんが、学校や幼稚園が冬休みに入りましたので、本格的な流行は1月中旬以降になるのではと思われます。
インフルエンザの予防には、ワクチンがもっとも重要です。インフルエンザにかかると重症になりやすい高齢者や幼児、心臓や肺に持病のある人、妊婦さんなどはできるだけ早めにワクチンを接種しておきましょう。重症になりやすい人と接触する人もワクチン接種が必要です。
本格的に流行してきたら、人ごみはできるだけ避けましょう。適当な加湿や暖房、マスクや手洗いも有効です。風邪気味という人は、咳エチケットを心がけて、他の人にうつさないように注意しましょう。
今年はいままでで最大の流行となったRSウイルス感染症ですが、減ったとはいえ年末のこの時期にはまだまだあなどれない病気です。小さな赤ちゃんや心臓や肺に病気を持つ乳幼児では重症になりやすいので要注意です。
今シーズンから外来での迅速検査が健康保険で認められるようになったため、検査をおこなう医療機関が増えてきました。大きな流行となったのには、外来での検査数の増加も影響したと考えられています。
RSウイルス感染症では高熱を出すことも少なくありません。インフルエンザと思っていても、実はRSウイルスという場合もあるのです。健康保険で検査が認められているのは主に乳児だけですが、外来での検査が一般的となってきたので、「検査陰性でもインフルエンザ」とされていた患者さんが、実はRSウイルス感染症であったということが分かるかもしれませんね。
さて、お送りしてきた私のドクターニュース(感染症情報)ですが、今回で終了させていただくことになりました。町の一小児科医としての考え方や心意気を、お会いしたこともない保護者の方々に何とか届けたいと考え、自分の外来で親御さんにお話しするような雰囲気になるようにと心がけて書いたつもりでしたが、あらためて読み返してみると、つたない文章でお恥ずかしい限りです。
一年間お付き合いくださり、本当にありがとうございました。小児科医として、すべての子どもたちが幸せになることを心から願っております。では、楽しいお正月となりますように。
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