2012年11月12日
ノロウイルスによる感染性胃腸炎が流行っています
ノロウイルスによる感染性胃腸炎が増えています。例年は12月が流行のピークですが、全国約3,000の小児科医療機関からの報告では、今のところ例年通りの流行規模のようです。
都道府県別では、福岡県、兵庫県、石川県、大分県、大阪府、宮崎県、熊本県の順に多く報告されています。全国平均を上回っているのはおもに西日本の府県です。
年齢別では圧倒的に小児に多く、8月から10月末までの集計では、0歳・1歳27.9%、2歳・3歳20.6%、4歳・5歳15.8%でした。小学校に入学する前の乳幼児で、報告数全体の3分の2を占めています。
ノロウイルスの胃腸炎の特長は?
ノロウイルスによる胃腸炎は、原因となるウイルスが体に入ってから発病するまでの期間(潜伏期間)が1~2日ととても短く、あっという間に子どもたちの間で流行してしまいます。吐いた物やゲリ便に含まれるノロウイルスを吸い込んだり、手に付いたのを口にしてうつります。
吐き気、嘔吐、ゲリが主な症状です。嘔吐やゲリは1日数回程度ですが、ひどいときは10回以上のこともあります。高い熱を出すことは少ないようです。ロタウイルスによる胃腸炎と比べると比較的症状は軽いのですが、それでも入院することはあります。小さなお子さんではこまめな水分補給を心がけるようにしましょう。
ただし、死亡するようなことはほぼありません。高齢者の施設での死亡例が報道されることがありますが、寝たきりのお年寄りが吐いた物をのどに詰めて窒息するからです。
手洗いが大切ですが、実際には流行を防ぐことはなかなかむつかしいようです。子どもたちは、手を洗っても、すぐにいろいろなところを触りますからね。ロタウイルスのような予防ワクチンはまだありません。
重症の不整脈を起こしやすい薬を服用していました
結論から言うと、ワクチンに原因があるのではなく、服用していた薬の副作用である不整脈による心停止の可能性が高いようです。救急搬送後に救命処置を行った救命救急センター長の「常識的には心臓に異常がなければ起こりえない」という意見も掲載されています。
男児は、幼児期に「広汎性発達障害」と診断され、平成24年9月から併用すると不整脈を起こす可能性が高くなる3種類の薬を内服していました。予防接種直後に急変したということですが、心電図上は完全に心停止で、AED(自動体外式除細動器)も使用できる状況ではなかったようです。
ちなみに、予防接種後に起こるもっとも重い副反応にアナフィラキシーショックがありますが、今回のような経過ではありません。
接種後に起こることをどう考えたらいいのでしょう
予防接種を受けた後に起こったことで、身体にとって良くないことは、予防接種が原因であろうとなかろうと関係なく、「有害事象」と呼びます。
予防接種が本当に原因である有害事象は「真の有害事象」(副反応)です。関係のないのは「ニセの有害事象」(まぎれこみ)です。予防接種にとって「まぎれこみ」は、「自分は犯人でないのに無実の罪をきせられた」ようなものですね。
副反応ではっきりしているのは、注射をした部位が赤くなったり、はれたりすることです。めずらしくはありませんが、別に大したことでもありません。重い病気を予防するための予防接種ですから、これくらいは大目に見てほしいものです。
予防接種を受けた日の夜や翌日に熱が出ることもよくあります。この場合は、副反応なのか、「まぎれこみ」なのかを区別することはとても難しいのです。でも安心してください。予防接種による発熱であれば、ふつうはそれ以上何も起こりません。どちらかというと安心です。
しかし、予防接種以外の原因で熱が出たのであれば、さまざまな病気を考えなくてはなりません。少し心配でしょうが、熱以外に変わったことがないか、お子さんの様子をよく見てあげてください。
死亡や後遺症をきたす重い有害事象は、きわめてまれ(約100万回に1回程度)と考えられています。本当に予防接種が原因であれば、もっと多くの人に起こるはずです。実際には関係のない「まぎれこみ」がほとんどなのです。
実名まで公表して接種医を犯人扱いする警察の対応や、事実内容の確認もせずセンセーショナルに報道しようとする一部マスコミの姿勢には、納得しがたい部分も多いのですが、保護者の方々には冷静に対応していただきますようお願いいたします。
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