アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
~春先からの花粉症対策~
花粉症とは、アレルギー性鼻炎(鼻粘膜のⅠ型アレルギー疾患で、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を3主徴とする)のうち、スギ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉抗原によるものをいいます。2019年は梅雨が長引いたこと、夏の降雨量が多かったことから、2020年のスギ花粉の飛散量は、九州から関東甲信にかけて広い範囲で例年より少ない見込みとのことです。
花粉症はⅠ型アレルギーなので、しばしばアレルギー素因(遺伝性にアレルギー疾患を起こしやすい体質)を持っており、家族内にアレルギー疾患の人がいる場合、より花粉症を発症しやすいといえます。花粉症は、このような生まれ持ったアレルギー素因に、大気汚染やストレス、花粉飛散量などのさまざまな環境的因子が加わって発症します。
診断は、問診(症状が発生しやすい時期、家族歴など)、視診(鼻の中の状態を見る)、鼻汁検査(鼻汁の中の好酸球を証明する)、血液検査(花粉に対する特異的ⅠgE抗体価)などを組み合わせて行います。
花粉症は増加傾向であり、有病率は10年前の16%から27%と、約1.5倍に増えています。さらに、最近は低年齢化し、5歳から9歳の子どもの5人に1人が花粉症といわれています。
花粉症は、いったん発症すると自然には治りにくく、またひとりひとり原因の花粉や症状も違います。自分でできる対策をしっかりと行いながら、医師と二人三脚で、最適な治療法を選択しましょう。
抗原の除去と回避:鼻や目に入る花粉の量を減らすことは、基本中の基本です。どのような治療を選択しても、必ず自身で行わなくてはいけません。具体的には、花粉情報に注意し、花粉の多い時間帯の外出を控えたり、外出する時にはマスクやメガネを使用します。表面がけばだった上着は避け、帰宅後は、上着や髪を払い、顔を洗い、鼻をかみます。また花粉の多い日には窓や戸を閉め、洗濯物やふとんを外に干さないようにします。
内服薬、点眼薬、点鼻薬を、症状の種類や強さに合わせて組み合わせて使います。くしゃみ・鼻水と、鼻づまりでは効く薬が違ってきますので、医師と相談しながら、最も適切な治療薬の組み合わせを探します。
アレルゲン免疫療法:原因となっている抗原を、少しずつ量を増やしながら体内に入れて、抗原に対する反応を弱めていく方法です。2〜3年かかりますが、治療の中で唯一アレルギーを治してしまう可能性があり、約70%の人に有効といわれています。近年、スギ抗原を口の中(舌下)に入れる舌下免疫療法が、簡単で安全な方法として国内でも承認されています。
ヒト化抗ヒトⅠgEモノクローナル抗体(オマリズマブ):ヒト化抗ヒトⅠgEモノクローナル抗体(オマリズマブ: 商品名ゾレア)とは、アレルギーの原因となるⅠgE抗体の働きを抑えることで既存治療でも効果が不十分な気管支喘息、特発性の慢性蕁麻疹に。2週間または4週間に1回、医療機関で皮下注射を行います。花粉症については既存治療でも効果不十分な最重症または重症の成人と12歳以上に対し、近日中に、(2019年11月現在)、世界に先駆けて日本で初めて同効能が追加される予定です。
手術療法:薬物療法が効かない重症の鼻づまりに対し、鼻の粘膜を切除したり、レーザーで焼いたりする治療が行われます。
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