アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
~春先からの花粉症対策~
花粉症とは、アレルギー性鼻炎(鼻粘膜のⅠ型アレルギー疾患で、くしゃみ、鼻汁、鼻閉を3主徴とする)のうち、スギ、カモガヤ、ブタクサなどの花粉抗原によるものをいいます。日本気象協会による2017年春の花粉(シラカンバ・スギ・ヒノキ)飛散予測は、関東地方は前シーズンよりやや少なく、北海道、東北地方では少ない見込みですが、夏の猛暑の影響で、近畿地方・四国地方・九州地方で前シーズンの2倍以上の飛散数となる見込みです。
花粉症はⅠ型アレルギーなので、しばしばアレルギー素因(遺伝性にアレルギー疾患を起こしやすい体質)を持っており、家族内にアレルギー疾患の人がいる場合、より花粉症を発症しやすいといえます。花粉症は、このような生まれ持ったアレルギー素因に、大気汚染やストレス、花粉飛散量などのさまざまな環境的因子が加わって発症します。
診断は、問診(症状が発生しやすい時期、家族歴など)、視診(鼻の中の状態を見る)、鼻汁検査(鼻汁の中の好酸球を証明する)、血液検査(花粉に対する特異的ⅠgE抗体価)などを組み合わせて行います。
花粉症は増加傾向であり、有病率は10年前の16%から27%と、約1.5倍に増えています。また10年前は子どもの花粉症はめったにありませんでしたが、最近は低年齢化し、5歳から9歳の子どもの5人に1人が花粉症といわれています。この原因としては、戦後全国で行われた大規模なスギの植林、大気汚染、温暖化、感染症が減ったことによりアレルギー素因をもつ子どもが増えたこと、などが関係しているといわれていますが、はっきりとは分かっていません。
花粉症は、いったん発症すると自然には治りにくく、またひとりひとり原因の花粉や症状も違います。自分でできる対策をしっかりと行いながら、医師と二人三脚で、最適な治療法を選択しましょう。
鼻や目に入る花粉の量を減らすことは、基本中の基本です。どのような治療を選択しても、必ず自身で行わなくてはいけません。具体的には、花粉情報に注意し、花粉の多い時間帯の外出を控えたり、外出する時にはマスクやメガネを使用します。表面がけばだった上着は避け、帰宅後は、上着や髪を払い、顔を洗い、鼻をかみます。また花粉の多い日には窓や戸を閉め、洗濯物やふとんを外に干さないようにします。
薬物療法:内服薬、点眼薬、点鼻薬を、症状の種類や強さに合わせて組み合わせて使います。くしゃみ・鼻水と、鼻づまりでは効く薬が違ってきますので、医師と相談しながら、最も適切な治療薬の組み合わせを探します。
アレルゲン免疫療法:原因となっている抗原を、少しずつ量を増やしながら体内に入れて、抗原に対する反応を弱めていく方法です。2〜3年かかりますが、治療の中で唯一アレルギーを治してしまう可能性があり、約70%の人に有効といわれています。近年、抗原を口の中(舌下)に入れる舌下免疫療法が、簡単で安全な方法として国内でも承認されています(適応は12歳以上)。
手術療法:薬物療法が効かない重症の鼻づまりに対し、鼻の粘膜を切除したり、レーザーで焼いたりする治療が行われます。
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