接種スケジュール 予防接種 教えて!ドクター
~ VPDを効率的に予防しましょう~
予防接種をするのは自分自身がワクチンで防げる病気〔VPD(Vaccine preventable disease)といいます〕にかからないよう、VPDにかかっても軽くすませるためです。また、子孫にVPDの影響を残さないことも大切です。2013年に風しんが流行したときは妊娠中のお母さんが風しんにかかり、約40人の先天性風しん症候群の赤ちゃんが生まれました。社会全体のワクチンの接種率を高め、接種時期になる前の人や接種しても免疫ができなかった人、病気のために接種をうけられない人などをVPDから守ることも予防接種の重要な目的です。
多くのワクチンはVPDにかかる前に接種しなければなりません。適切な接種時期は、免疫機能が成熟しワクチンに対する免疫を作ることができるようになり、VPDにかかるリスクが高くなる前です。また、VPDにかかるリスクが高くなるのは、生まれてくる前にお母さんからもらった免疫(移行抗体といいます)が減少し、VPDの発生頻度が増加する時期です。VPDにかかるリスクを考えて接種スケジュールは決められています。接種できる年齢になったらすぐ、定期接種と任意接種を区別せずに、できるかぎり同時接種でうけることがリスクを減らす重要なポイントになります。わかりやすい接種スケジュールを参考に接種をうけましょう。
予防接種スケジュール表が“「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会”からダウンロードできます。
生後2か月になるとインフルエンザ桿(かん)菌B型(ヒブ)と小児用肺炎球菌ワクチンが接種できます。ヒブと肺炎球菌に対する移行抗体は出生後早期に減少し、髄膜炎や敗血症などにかかることがあります。また、ロタウイルスワクチンは接種時期が遅くなると腸重積という副反応が増加する可能性があります。生後2か月になったらすぐにヒブワクチン、小児用肺炎球菌ワクチン、B型肝炎ワクチン、ロタウイルスワクチンの4種類を同時接種しましょう。
麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘の移行抗体は早期に感染を防げるレベル以下になり、1歳までにはなくなるため、感染のリスクがあります。
肺炎球菌による髄膜炎は生後6か月から1歳に最も多くかかりますが、菌血症などの髄膜炎以外の侵しんしゅうせい襲性肺炎球菌感染症は、1歳から1歳半が最もかかりやすい時期です。さらに、ヒブ、小児用肺炎球菌ワクチンは3回接種をしていても、1歳の追加免疫前には抗体価が低下するため、1歳になったら早期に追加接種をする必要があります。
1歳になったらすぐにMR(麻が積極的にキャッチアップ接種をうけることは、子どもたちをVPDから守っていくためにも重要です。しん風しん)、水痘、おたふくかぜ、ヒブ、小児用肺炎球菌、四種混合(百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ)ワクチンの6種類を同時接種します。やむをえない場合は、これらを2回に分けて接種しますが、接種時期が遅れたり、接種を忘れないように注意しましょう。
キャッチアップ接種とは、推奨されている時期に接種をしていない人に対するワクチンの接種です。2016年10月から定期接種になったB型肝炎ワクチンの接種対象は1歳未満ですが、1歳以上の子どもにもキャッチアップ接種が必要です。
キャッチアップ接種が必要なのは子どもだけではありません。2013年の風しんの流行、2016年の麻しんの流行では接種を受けていない20〜30歳代の成人が最も多く発症しました。麻しん、風しん、おたふくかぜ、水痘などにかかっていない場合は成人でもワクチンを接種する必要があります。成人が積極的にキャッチアップ接種をうけることは、子どもたちをVPDから守っていくためにも重要です。
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