皮膚は肝臓や腎臓に比べて注目度が低いかもしれませんが、その役割はとても大きなものです。体内の臓器を覆う単なる壁としての役割だけでなく、それらを外からの力や化学物質、熱、紫外線から守るバリア機能として働いています。赤ちゃんはママのお腹の中では羊水の中にいて皮膚はしっとりと保たれていましたが、生まれた途端に一気に空気にさらされ、乾燥した環境に出てきます。この環境に慣れるため初めは皮膚の脂が多いですが、生後6か月を過ぎると徐々に減っていき、皮膚が厚さを増して機能的にも成長していきます。皮膚の働きが完全でない状態で四季による気温や湿度の変化にも対応していかなければならないため、ママ・パパが赤ちゃんの皮膚を大切に守ってあげることが必要なのです。
近年、アレルギーはスキンケアで防げるということがわかってきました。皮膚は一番外側にある角質層ががっちりと外からの刺激を抑えていますが、皮膚が薄く未完成な赤ちゃんは乾燥などにより、皮膚がカサカサになり、バリア機能が低下します。皮膚の表面がすき間だらけになった状態は、外からばい菌やアレルギーの原因物質などの異物が体内に入り込みやすいため、アレルギーを引き起こす原因となるのです。ダニやほこりに対するアレルギーのほか、食物アレルギーの発病も、まずは異物が皮膚から体内へ侵入することが原因だとわかってきています。
スキンケアを習慣にすることで、お子さまの肌トラブルはグッと減らすことができます。毎日の保湿で皮膚のバリア機能を守りましょう。
かゆみのある湿疹を繰り返すアトピー性皮膚炎。皮膚のバリア機能が低下した状態でダニや花粉などのアレルゲンが体内に侵入し、アレルギー反応が起こることが原因の一つと言われています。
治療の基本はステロイド塗布です。「ステロイドは怖い」と思い込んでいる方もいますが、決して怖い薬ではありません。使ってはすぐやめるなど中途半端な使い方を繰り返すと症状が悪化することもあるので、しっかりと医師の指示通りに使うようにしましょう。
最近では非ステロイドの新しい薬もどんどん登場しています。「分子標的薬」で小さなお子さまが使えるものには塗り薬のほか、注射薬もあります。治療の選択肢の幅が広がっているので、お子さまの年齢や症状に合った薬にどんなものがあるか、かかりつけ医に相談してみてください。
アトピー性皮膚炎で承認済みの「分子標的薬」
塗り薬
毎日のお風呂は大変ですよね。でも、湯船に入って皮膚を健やかな状態に保つことがスキンケアの大切なポイント。入浴タイムはお子さまの肌を観察できる機会でもあります。お風呂の後のスキンケアまでをセットにして習慣にしましょう。
まずは、かけ湯をして体の汚れを落としてから、湯船に浸かりましょう。
湯船から出たら頭を洗ってよくすすぎ、その後に顔を洗います。洗浄剤はよく泡立ててください。
首→腕→お腹→背中→おしり→足の順に。耳の後ろや首の後ろ、わきの下、鼠径部(脚の付け根)、足の指も忘れずに。
洗浄剤の選び方
素材がシンプルで、低刺激、弱酸性のものがおすすめです。洗浄剤の使いすぎ、洗いすぎは皮膚を乾燥させるのでNG。
しっかりすすいだらもう一度湯船へ。熱いお湯は皮膚が乾燥するので38~39℃くらいのお湯に3分程度浸かります。
しっかりすすいだらもう一度湯船へ。熱いお湯は皮膚が乾燥するので38~39℃くらいのお湯に3分程度浸かります。
拭いてから5分以内の保湿が効果的。こすらず、やさしく、肌がしっとりするくらいたっぷり保湿剤を塗りましょう。
保湿剤の選び方
保湿剤は皮膚がしっとり保て、使い心地が良ければ乳液でもクリームでも、季節や好みで選んで構いません。
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