私は1980年に小児科医になり、その後、熊本県上天草市(当時は天草郡大矢野町)で開業して35年が経ちました。地域医療の充実、保健衛生の向上に貢献できるかかりつけ医として、病気や予防接種だけでなく、小さいお子さまを持つママ・パパの子育ての相談や悩みに寄り添い、応援できるように日々診察を続けています。
長年さまざまなお子さまを診察してきましたが、医療や治療の「常識」は時代や家庭によって異なり、そして変わっていくものだと感じています。例えば、昭和では熱が出ても薬で下がれば病気が治ったと考える人が多かったり、咳や下痢、嘔吐は止める治療が必要だと思われていたり。高熱が続くと脳に悪影響があると慌てるママ・パパもいました。令和の今、それらは常に正しいわけではないと知っている人が増えてきました。このように「常識」はどんどん変わっていきます。自分が当たり前だと思っている「常識」にも一度疑問を持ち、かかりつけ医の話を聞いてみてください。そうすることでママ・パパの「常識」もアップデートされていくことでしょう。
お子さまが体調を崩すと急な症状に直面することもあると思います。自分が経験したことがないケースには怖さや不安も感じるでしょう。そんなとき、落ち着いて対処するために、「時計を見る」「症状を記録する」のがおすすめです。スマホへのメモでもいいですが、自分で書くことでより冷静になれるはずです。時間と熱や様子、気づいたことをメモすれば症状の経過がわかり、診察時に役立ちます。回復後も「治ってよかった」で終わるのではなく、そのメモをもとによかった点や次に活かせる点を整理することで、不安から「一歩先」に進むことができますよ。
近年はさまざまな感染症が流行し、頻繁に熱を出すお子さまも多いのではないでしょうか。ママ・パパはお子さまの健康管理が大変ですよね。お子さまの発熱のほとんどは免疫反応によるものなので、多くの場合、すぐに受診を必要とするものではありません。ホームケアで様子を見つつ、症状が続くようなら小児科を受診しましょう。ただ、見た目は元気でも「いつもと違う」とママ・パパが感じる場合は、必ず何か問題があります。「親の第六感」ほど確かなものはありませんので、その場合は早めに受診してください。
ホームケアではお子さまが気持ちよく過ごせるように環境を整えてあげましょう。様子を見るうえで気をつけることは、「脱水症状になっていないか」「食事がゼロではないか」という2点です。「何の病気だろう?」と気になるかもしれませんが、病名にとらわれる必要はありません。それよりも症状を重視しましょう。もし症状が悪化してしまってから受診をする場合も、経過がわかれば診断の役に立ちますので、ホームケアの間も時計を見て症状をメモしておくことをおすすめします。
お子さまは熱を出しながら徐々に丈夫になっていきます。そして、ママ・パパは看病の経験を重ねてお子さまの症状に合わせた対応が上手になっていきます。その都度の経験から学び、考える力をつけていくママ・パパを私はこれまでたくさん見てきました。お子さまの病気は心配で当たり前です。そんな心配や不安を受け止めるのも私たちかかりつけ医の役目だと思っています。些細なことでも気軽にかかりつけ医に相談してくださいね。
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