鼻みず・鼻づまりは、子どもにとってはしばしば見られる症状です。鼻腔は年齢が幼いほど狭いので鼻みずや鼻づまりは、影響が大きく、特に生後3ヵ月までは鼻呼吸が主で、口呼吸はできないか、下手なので、鼻づまりだけでも呼吸困難になることもあります。では、鼻みずは不要のものでしょうか?
鼻みずは鼻の中の粘膜にある杯細胞やその下にある分泌腺で、大人だと1日に1〜1.5ℓつくられているのです。大きな役割は二つあり、一つは鼻腔粘膜を湿らせて、吸気時に通る空気に湿気と暖かさを与えています。もう一つは、異物を洗い落としています。
鼻みずは自然に蒸発するか、残りは知らない内に飲み込んでいます。通常は外鼻口(いわゆる鼻のあな)から外に流れ出てはいないので、病気でないと鼻みずはないと思われるのかもしれませんが大事な働きをしているのです。
鼻みずは、鼻の粘膜の血管が拡張していると多く、血管が収縮していると少なくなります。血管は、自律神経にコントロールされています。自律神経には、交感神経と副交感神経がありますが、副交感神経は血管を拡張させ、交感神経は血管を収縮させる働きがあります。
寒さを感じるなどの刺激は副交感神経を刺激して鼻みずを多くしますし、お風呂に入って温まるなどの刺激は交感神経を刺激して鼻みずを少なくします。ヒトの体のリズムは、起きている日中は交感神経優位で、夜は副交感神経優位なので、時間帯によって鼻みずの出方も違います。
鼻の粘膜に刺激になるのは、スギ花粉アレルギーに代表されるようなアレルギー性鼻炎、ライノウイルスの感染による鼻咽頭炎のようなウイルスの感染、いわゆる風邪と呼ばれる状態です。鼻みずが多くなることで、アレルギーの原因物質や病原体が更に入ることを拒み、流し出す効果が強化されているとも考えられます。
治療方法は①物理的に鼻みずを除去する、②薬物を用いて減らすかです。鼻みずを除去するのは、市販の吸引器を用いて吸い取る、食塩水を点鼻して流すことがホームケアではできます。私は後者をお勧めしています。
薬物を用いる場合は、副交感神経をブロックするか交感神経を刺激すれば理屈の上では鼻みずが減りますが、安全性の面で問題があります。
アレルギーであれば、抗アレルギー薬の全身または局所投与で原因を抑えることができます。ウイルス感染ではインフルエンザの場合以外には抗ウイルス薬はなく、原因療法がありません。
抗ヒスタミン薬が抗コリン作用を持っていて鼻みずを減らすとして、対症療法に用いる医師がいますが、痙攣を起こしやすくする、学習能力を低下させる、認知能の発達を妨げるなどの副作用があり、幼小児にはお勧めできません。
鼻みずが色づくのは、局所でつくられる物質で白血球が集められるためで細菌感染ではありませんから抗菌薬は無効、または有害です。
鼻みず・鼻づまりの程度により、安全性を優先した治療を選びましょう。
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