感染症 子どもの病気 教えて!ドクター
子どもは小学校に入学するまでに、発熱を伴う呼吸器の病気に20~30回かかります。夏の時期によく流行する病気を夏かぜと称し、ヘルパンギーナ、手足口病、急性咽頭炎などがあります。しかし、最近は冬の病気であった、RSウイルス感染症や、春の病気であったヒトメタニューモウイルス感染症なども、夏に流行がみられます。理由は分かりませんが地球温暖化の影響もあるかもしれません。夏かぜと呼ばれている病気の病因ウイルスは主に、コクサッキーウイルス、エコーウイルス、エンテロウイルスです。これらを総称してエンテロウイルス群とも言います。症状に特徴があれば、手足口病やヘルパンギーナなどの病名がつきます。
のどの奥の口蓋垂(一般的にのどちんこ)の両側に1~3個の水疱を伴った発赤がみられます。高熱と強いのどの痛みで、乳幼児は食物摂取の困難さを訴えます。牛乳やアイスクリームなど刺激の少ないものをこころがけ、栄養と水分を補うことが大事です。急激な発熱のため、熱性けいれんを伴うこともあります。けいれんが5分以内に収まれば心配ありませんが、それ以上続くときは救急車を呼んでください。
手、足、口に発疹が出るので手足口病という病名が使われていますが、実際には、膝やおしりにも発疹がよく出ます。口の中や舌に白い口内炎のような発疹ができます。発熱はないか微熱程度です。口蓋垂の両側にブツブツが出ると高熱が出ることが多いです。そうなればヘルパンギーナの症状と重なりヘルパンギーナという診断もつきます。私はヘルパンギーナと手足口病という病名を重ねて表現します。手足口病の代表的な病因ウイルスは、コクサッキーA6、A16、エンテロ71ですが、ヘルパンギーナはA2、A4、A6、A8、A9、A10などがあります。不思議なことにA6では、ヘルパンギーナだけの人と、ヘルパンギーナと手足口病の両方の症状がある人がいます。数種類のウイルスが原因ですので、ひと夏に2回かかる人もいます。
病因ウイルスはエコーウイルスとコクサッキーウイルスです。エコーウイルスは約30種類あります。発熱した2日目ぐらいから、手足や全身に淡い赤色の発疹が出ます。発熱は2~3日で解熱します。夏に多い神経系感染症である無菌性髄膜炎は、このウイルス群が病因となることが多いです。高熱が出て嘔吐を伴い、入院となることが多いです。
これらのウイルスに効く薬はありません。かかった子どもがウイルスと戦ってできる免疫力で治っていきます。のどが痛くて食事が摂りづらければ、脱水を防ぐために食べやすいゼリー、アイスクリーム、プリン、牛乳、電解質の整った子ども用飲料水を少しずつ与えるのがコツです。
手足口病で、発熱もなく元気であれば登園してよいでしょう。園で流行しているのであれば、休園しても流行を止める効果は極めて少ないです。
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