子どもにみられる気になるくせは習癖(しゅうへき)と言われ、指をしゃぶる、爪をかむ、まばたきをくり返す、のどを鳴らす、性器をいじる、髪の毛を抜く、歯ぎしりをする、などがあります。
そのほか身体の動きを伴うくせとして頭を振る、頭を叩く、体をゆらすものがあります。睡眠に関しては、夜驚症(やきょうしょう)、夢中遊行(むちゅうゆうこう)などがあり、食事に関しては、食べすぎる、食べない、食べられないものを口に入れるなどがあり、排泄に関しては、おしっこや便のお漏らしなど、言葉に関しては、言葉の始まりが詰まってなかなか出ない吃音(きつおん)、言葉を話さない緘黙(かんもく)など数多くのものがあります。
❶気にしないほうがよいくせ、❷大人が上手に対応したほうがよいくせがある一方で、❸専門家に相談したほうがよいくせもあります。
チックや吃音は一般に大人が気にしないほうがよいものとされています。
「どうしたの? 目が痛いの?」「もう一度言って」などと大人が気にして話題にすればするほど症状が明らかになってきます。そこで、いつもの規則正しい生活を心がけて自然に消失するのを待ちます。
夜驚症、夢中遊行などは、起きた時に子ども自身では覚えていないことが多いため特に話題にする必要はありません。ただし、睡眠後2時間以内に現れるものですから、大人は子どもに危険がないよう見守る必要があります。
指しゃぶりの発生頻度は、1歳半の子どものおよそ30%、3歳児のおよそ20%、5 歳児のおよそ10%と減少します。
一方、爪かみの発生頻度は1歳半の0.2%、2歳児の1.4%、3歳児の3.7%、5歳児の4.3%、小学校4〜6年生の44.2%と増えていきます。ほとんどの例で大きな問題になることはなく、基本的には発達の過程で一過性にみられる生理的な行動です。
そこで、過剰な心配をせず無理に禁止しないほうがよいと言われています。とくに指しゃぶりは、子どもが他に何もすることがない時に現われることが多いので、見かけた時にやめるように声かけするのではなく、子どもが興味を示す遊び、たとえば絵本やおもちゃを手渡ししたり外遊びに誘うなどして、うまく他に関心を向けさせ機会を失くして忘れさせ、子どもが全体的に元気に明るい生活を送れるようにします。
その他の性器をいじるくせや髪の毛を抜くくせ、歯ぎしり、頭を振る、頭を叩く、体を揺らすといったくせも同様に対応します。
チックが自然に消失せず、逆に目から顔全体、肩や頭などに範囲が広がってきた場合は専門家に相談します。
また、場面によって話さなくなる選択性緘黙(かんもく)は、対応として、子どもの気持ちを代弁できる大人が身近に(園や学校でも)必要になるため、早い時期に専門家に相談したほうがいいでしょう。
なぜならば、その症状の背景に発達障害などの疾患が隠れている場合があり、その疾患の有無を明らかにするとともに、その対応も必要となるからです。
チックが一旦おさまっても、また何かのきっかけで、前回とは別の形で現れることもあります。ストレスは直接の原因ではありませんが状態を悪くします。お子さんを思い早く無くしたいというお気持ちはわかりますが、一喜一憂せず気長につきあいましょう。
実際に生活の中ではどの方法がよいのか区別がつかないものです。そこで、子どもの気になるくせをみつけたら、まずは気にせず知らないふりをして観察し、続くようであれば他のことに気をそらせるように誘うことで忘れさせられるかどうかをみて、それでもしつこく続く場合や子ども自身も気にして困っている場合は、小児科医などの専門家に相談してください。対応の方法を教えてもらえます。
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