皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
みなさんは「肌」と言いなれているかもしれませんが、私たちの体を覆いつくし守っている皮膚のことをどう思われていますか?「ただ単に体を覆っているだけ、肝臓や腎臓に比べて重要度は少ない?」もちろん皮膚の体を覆うという役割は大切です。皮膚は体内の臓器を覆い、それらを外からの力や化学物質、熱、紫外線から守っていて、ただ壁としてではなくいろんな方法でバリヤーとして働いています。とてもしっとりとして透明感のある赤ちゃんの皮膚は美しく見えますが、その皮膚の働きは完全ではなく私たちが大切に守ってあげないといけないものなのです。
皮膚は上の図に示されているように考えられています。図のように皮膚の一番外側にある角質層ががっちりと外からの刺激を抑えています。でも、赤ちゃんの皮膚が薄く未完成なので、外の空気があまりにも乾燥していたり、皮膚の脂が少なくなる生後6か月を過ぎると、皮膚の水分が外へ出てしまいます。皮膚はかさかさになってしまい、そのバリヤーとしての働きが悪くなってしまうのです。そうすると外から、ばい菌が入りやすくなり、またアレルギーの原因物質が入り込んできます。ダニやほこりに対するアレルギーは、皮膚から入ると大分前からわかっていましたが、食物アレルギーの発病の原因は、まずは皮膚から体内へ入り込むことが原因だと分かってきています。一度も食べてないものを食べた途端にアレルギー発作を起こしてしまうことがなぜ起こるのかは母乳のためだと長い間言われてきましたが、皮膚からの侵入が原因だったのです。
赤ちゃんは生まれるまで、お母さんのおなかの中で羊水の中にいて皮膚はしっとりと保たれています。でも、他の動物と違い人間は立って歩くために、かなり未熟な状況で生まれてきます。たとえば、馬の赤ちゃんなどは、たてがみがしっかりあり、全身がびっちり毛で覆われて生まれてきます。でも人間の赤ちゃんは生まれた途端に一気に、水の中にいたのに空気にさらされて、乾燥している環境に放り込まれてしまいます。それに慣れるために、はじめは赤ちゃんの皮膚の脂はお母さんのホルモンのおかげで多くなっています。そして、その脂は減りますが、徐々に今度は皮膚は厚さを増して機能的にも徐々に生育してゆきます。この期間に日本に育つ赤ちゃんは日本特有の夏季の高温多湿、冬季の低温低湿度という環境変化にも慣れていかなくてはならず大変です。
でも、周りの大人がよく理解してスキンケアを頑張れば、肌トラブルは一気に減りますし、それでアレルギー発症も抑えられると考えられます。
子どもたちはどんなに寒くても汗をかくのできれいに洗わなくてはいけないし、そのうえこの時期子どもたちは暖まることでリラックスし、のびのびできるのでお風呂が大好きですよね。そして、お風呂に入ることで子どもたちの皮膚を観察できる機会も増えます。これは大切なことです。お風呂に入ることで、皮膚の大切なケア、清潔に、保湿の両方がかないます。 お湯に浸かることで、皮膚の角質層まで水分が入り皮膚が潤いしっとりするのです。
お風呂では石鹸を使い、そしてそれを洗い残さずに柔らかいタオルか手で洗ってください。石鹸等はよく泡立てて少量で能率よく使いましょう。特に首の後ろ肘やひざの裏などを丁寧に洗います。ナイロンタオルは厳禁です。また、熱いお湯に入ると大切な皮膚の脂が不用意に流れたり、かゆみが起きたりします。39度ぐらいのお湯にゆっくり入りましょう。ゆっくり入りお風呂に入ることの楽しさを教えられたらと思います。最近では、幼いうちから一人でお風呂に入ったり、そのためにシャワーだけしかしなかったりする子どもたちもいますし、「夏は暑いから一回もお湯ははらなかった。各自シャワーです」というおうちもあります。ぜひ、お風呂に入ってください。清潔だけではなく保湿の力もお風呂にはあるのです。
さて、入浴後はその肌に入れ込んだ水分を大切に残すために保湿が大切です。保湿剤は種々あります。季節に合わせて、子どもの乾燥度に合わせて、クリーム、ローション、泡状があります。たっぷり塗ってください。塗った後にも触ってみてください。どうでしょうか? しっとりしていますか? べたべたして子どもが嫌がっていませんか? また、よく観察していてどうしても保湿剤だけでは治らないざらざら、赤いところがあったらそこの皮膚に穴が開いてしまったと考えてください。長くそれが続くとその小さな穴が大きなほころびに広がることがあります。皮膚科を受診して気軽に相談してください。
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