皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
これから暑い季節になりますね。子どもはとても、汗っかき。それは、赤ちゃんでも大人でも、汗腺の数が200~300万個と同じだからです。子どもは体表面積が少ないので、汗腺密度が高く、代謝が活発で体の水分量も多いために、大人より汗が多く出ます。これからの日本の高温多湿の季節は「あせも」が多くなりますね。「あせも」には困りますが、体には汗はとても大切です。汗と上手に付き合うために汗について知っておきましょう。
汗は汗腺から出ます。汗腺にはエクリン汗腺と、アポクリン汗腺の2つがあります。汗のほとんどはエクリン汗腺からの分泌です。エクリン汗腺は全身にあり、アポクリン汗腺は毛の部分に開口し、脇の下、陰部、乳輪、肛門周囲、外耳道などの限られた部分にあります。エクリン汗腺からの体温調節の汗は額、頭皮が先で次いで体の他の部分、最後は手のひら、足の裏です。赤ちゃんの汗は頭が多いですね。
汗には暑い環境で体温調節をする汗と、精神ストレスでの精神性の汗があります。ストレス性の汗は額、頭皮が先ではなく、手のひら、足の裏、脇の下が先です。
汗腺には、活動していない汗腺と、活動している能動汗腺があります。寒い地方の人は、暑い地域の人に較べて、能動汗腺が少ないと言われています。能動汗腺は2~3歳頃までに完成します。空調の効いた、室内でばかりの生活では能動汗腺は活性化しません。子どもの成長、汗腺の発達には屋外での活動、水分補給、運動も大事ですね。
汗の大切な成分に肌にうるおいを与える、天然保湿因子があります。汗の成分の抗菌ぺプチドや免疫グロブリンは、細菌やウイルスから肌を守り、自然免疫を強くしてくれます。ヒトは暑い時期には体温を下げるために、汗をかいて体温調節をしています。体温調節が効かないと、熱中症や自律神経失調症になりやすくなります。汗には保湿、免疫、体温調節など良い働きがあります。
汗疹は大量の汗のために、エクリン汗腺がつまる皮膚の症状です。高温多湿環境では体温を下げるために汗を多くかきます。汗が多く出ると、汗腺の開口部、導管部が詰まり、汗が貯留します。汗の成分は尿酸、アンモニアなどもあり、大量の汗は皮膚を刺激し皮膚炎になります。それが汗疹(あせも)です。
汗疹は汗管の閉塞部位の違いで3つに分類されています。
角層部(皮膚の浅い部分)での詰まり。痒み炎症がなく透明な小水泡で2~3日で自然に治癒します。
表皮内(皮膚の少し深い部分)での詰まり。痒み炎症がある赤い丘疹。細菌感染があると固く腫れる汗腺膿瘍(かんせんのうしょう)「あせものより」になります。
真皮(皮膚の深い部分)での詰まり。
特殊な環境、熱帯地域、高温下での長時間労働で発生します。
水晶汗疹は自然治癒になる為にまず、治療は不要です。水疱も擦るとすぐに破れて乾燥します。汗疹のほとんどは、紅色汗疹で、痒み炎症があるので、シャワー、入浴、スキンケアで軽快しない場合はステロイド外用剤を使用します。
汗腺膿瘍「あせものより」は抗菌薬の内服、外用も必要になります。また汗疹から黄色ブドウ球菌などが感染してとびひ(伝染性膿痂疹(のうかしん))になることもあります。
「とびひ」は一晩で拡がります。早目の受診が必要ですね。
汗をかいたら、そのままにしていないで、外出時は冷たいおしぼりで汗を拭きとる、帰宅したらシャワーをして濡れた衣服は着替えるなども必要ですね。日頃からシャワー、入浴(浴槽に入る)で肌を清潔にすることです。シャワー、入浴は気持ちが良いと赤ちゃんの時期から感じさせる事は大切ですね。もちろんシャワー、入浴後は保湿剤でスキンケアをしましょう。入浴後はスキンタイムです。
また、普段から厚着をしない、汗を吸収しやすい肌に優しい素材、風通しの良い衣服にすることも心がけましょう。
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