目 子どもの病気 教えて!ドクター
うちの子の眼は絶対に問題ない、と思っていませんか。お子さんに遠視や乱視が屈折検査で見つかりお母さんに話すと必ず驚かれます。そしてこれまで全く気がつかなかったと言われます。眼は誰にもわかりません。3歳から年長児までの全ての子は屈折検査を受けることをおすすめします。目つきの悪い子だけ検査したのでは見逃します。屈折検査は簡単で、安全で、短時間に確実に弱視の原因があるかないかを診断してくれます。
①弱視は50人に1人、よくある病気です。加えて弱視危険因子(乱視、遠視、斜視など)を持つ子は25人に1人はいます。
②弱視の治療は、アイパッチや眼鏡を使用します(治療用眼鏡は健康保険の支給対象です)。手遅れになると治療を開始をしても一生十分な視力は得られません。
③三歳児健診の視力検査は、目のいろいろな病気を見つけるうえで、とても大切な検査です。しかし、弱視は三歳児健診の視力検査だけでは見逃されます。
④3歳から年長までのこどもは全て屈折検査を受けましょう。
小児科医が弱視の話をするというと不思議に思われるかもしれません。ひとは生まれたときから視力1.0ではありません。視力は1歳0.2、2歳0.5、4歳1.0と上がっていきます。つまり視力は育つのです。しかし乱視、遠視(網膜の後方に焦点を結ぶ状態で遠くも近くもピントが合わない)、不同視(右眼と左眼の屈折度数の差が大きい、いわゆるガチャ目)、斜視があると網膜の上にピントの合った像が映らず、視力の発達が遅れます。これが弱視です。弱視は生後60か月までに発見され治療されなければ、一生視力不良が続きます。
スポットビジョンスクリーナーという機械があり、1mの距離から10秒以内で、乱視、遠視、近視、斜視、不同視がわかります。 2019年2月の時点で小児科930件、眼科1400件、自治体66団体が購入しました。私もこれを購入し外来の年長児までの子に一人残らず検査したのですが、次々に弱視が見つかり驚きました。これはいかん、なるべく早く弱視を見つけて救い出そうと思い保育園、幼稚園に出かけていって無料で全員に検査しました。
これまで5006人に検査し、199人の乱視、遠視、斜視を持つ子が見つかり、102人が弱視で眼鏡になりました(※)。ほとんどの保護者が目の異常に気づいていませんでした。また35人が三歳児健診の視力検査で見逃されていました。
※文献 野末冨男「25人に1人は弱視危険因子を持っている」小児科臨床 vol.72 No.8 2019
三歳児健診で屈折検査をしているのはまだごく一部の自治体だけです。スポットビジョンスクリーナーをもっているお近くの小 児科、眼科でお気軽に検査を受けることをおすすめします。スポットビジョンスクリーナーを持っている小児科はホームページで確認 すると良いと思います。また目つきがおかしいと思ったら3歳前でも積極的に眼科を受診してください。
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