発熱、かぜ 子どもの病気 教えて!ドクター
おかしなことですが、夏風邪という言葉はありますが、冬風邪という言葉は聞いたことがありません。冬は、寒いのでそれだけで風邪をひきそうです。そのような風邪には、「寒冒」という言葉があります。また、一般に、風邪は「感冒」と書き、これは、ウイルスや 細菌が体に入って、病気になる風邪です。インフルエンザは、かつては「流行性感冒」とも言われていました。
夏風邪というと、プール熱、手足口病、ヘルパンギーナの3つが、まず挙げられます。この3つの病気は、夏に流行のピークがあるウイルス性疾患です。これらの病気には特効薬はありません。これらは学校保健安全法などで学校への出席停止が定められています。
プール熱は、正式には咽頭結膜熱と言いアデノウイルスが原因です。発熱、ノドの発赤、結膜炎の3症状が特徴で、高い熱が3〜4日続きます。アデノウイルスは、インフルエンザの診断用の検査薬と似た検査薬でウイルスの有無を調べることができます。しかし、インフルエンザと違って特効薬はありません。また、アデノウイルスは、現在、67の血清型が知られているので、理屈の上では、67回、アデノウイルスにかかる可能性があります。しかも、この型の数は、研究が進むに従い年々増えています。
流行性角結膜炎もアデノウイルスが原因で、白目が真っ赤になります。共用したタオルなどを介して多くの人にうつります。ごく稀ではありますが、視力の低下をひきおこすこともありますので、症状が重たい時は早めに眼科を受診する必要があります。
アデノウイルスは、自然に治る病気ですが、胃腸炎を起こしたり、稀には、肺炎、膀胱炎、股関節炎、心筋炎、脳症などの重篤な病気に発展したりすることがあります。風邪と侮らず必ず小児科の先生に診て貰ってください。法令で決められた出席停止期間は、主要症状が消失した後2日を経過するまでとなっています。
手足口病は、コクサッキーやエンテロのウイルスが原因で、手のヒラや、足の裏、口の中などに水泡ができる夏風邪です。 これも特効薬は、ありません。知っておかなくてはならないのは、皮膚の症状が無くなっても、便からは1か月くらいウイルスが出続けているということです。しかし、全身症状が改善すれば登校は可能です。つまり、登校許可が出たといってもウイルスは、出ているのです。法令と医学の目指すところは、温度差があるのです。この病気は、非常に稀ですが無菌性髄膜炎を起こして死亡することもあります。風邪といって馬鹿にしない心がけが大事でしょう。
発熱と口の中の水疱を特徴としたヘルパンギーナもコクサッキーやエンテロウイルスが原因です。3〜4日で自然治癒しますが、時々、痙攣を起こすことがあります。これも、全身症状が改善すれば登校は可能です。
これらに対する予防法としては、他の感染症に対するのと同じ一般的な注意となりますが、手洗い、うがい、マスク、そしてタオルの貸し借りはしないことなどが挙げられます。
夏風邪をひいた時に忘れてはいけない病気に、溶連菌感染症があります。症状は、発熱とノド痛です。これは、正式名をA群β溶血性連鎖球菌という細菌が原因で起こりますが抗生物質のペニシリンを10日のむことで完治できます。見逃すと、腎炎や心臓弁膜症、リウマチなどになることがあり、一生、これらの病気を背負って生きていくことにもなりかねません。また、大人もかかるので、お母さんがお子さんから病気を貰う事もあります。受診時に、家族に溶連菌感染症が居るという事は必ずお医者さんに伝えましょう。この病気も法令で学校への出席停止が決められています。
風邪という病気は、一つの病気ではなく、色々な病気を十把一絡げにした言葉です。軽い病気が殆どですが、中にはこれで、命を失ったり、障害者になったりする可能性を秘めた夏風邪もあります。たかが風邪、されど風邪です。夏風邪と馬鹿にせず、早めに必ずお医者さんを受診しましょう。
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