アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
食物アレルギーを持つ子どもが、保育所や幼稚園に入園する際に必ずぶつかる壁は「給食」や「集団生活」の問題です。一口に「食物アレルギーを持つ子ども」と言っても蕁麻疹やアトピー性皮膚炎、気管支喘息の合併、アナフィラキシーを起こす重症タイプなどさまざまな病態を示しています。安心して子どもを通わせるためには、園の関係者や周りの方々に「自分の子どものアレルギーの症状」をしっかりと理解してもらうことから始めなければなりません。
人によって、それぞれ心配となってくる事柄は違うのですが、自分の子どもが「何を食べて、どうなるのか」を親御さん自身がはっきりとつかんでおかなければなりません。まずはそれらをうまく整理してみる事から始めましょう。
一般診察の場合、私たち医師が患者さんに対してお聞きしたいことはだいたい決まっています。表1に示しましたが、英語の勉強と一緒で「5W・1H」が大切です。まず、自分のお子さんの食物アレルギーの起承転結を「5W・1H」に則って一覧表にし、だれが見てもわかりやすいようにまとめてみましょう。きちんとしたものを用意(準備)して保育・教育現場に持って行くと、受け取る側としても理解しやすく、より真剣になって対応してくれるでしょう。
とにかく、お世話になる園の先生・関係者と、うまくコミュニケーションを取ることが大切です。「うちの子は特別」という対応は決してしないことです。最近では、食物アレルギーに限らず何らかのアレルギー性疾患を持つ子どもは増えています。間違って何かを食べてしまったという事故が起こっても、きちんとコミュニケーションが取れている場合はほとんど問題が残りません。事故は起こってしまったが、その対処と、次に同じ間違いを起こさないように努力することができればいいのです。アレルギーを持つ子どもの家族が園・保育現場に求めるのは、「完璧」ではなく「一緒にがんばってください」という姿勢で臨むことであり、ともに子どもの安全を守り、心のケアをしていくためのよりよい信頼関係を築いていくことが大切なことでしょう。
アレルギー性疾患の発症は低年齢化を示しています。このような課題に対し、地域独自の取り組みが行われているところもありますが、一方、十分な取り組みが行われていない地域も多くあります。
園と保護者、嘱託医等が共通理解の下に、一人ひとりの症状等を正しく把握し、アレルギー疾患の乳幼児に対する取り組みを進めるために、厚生労働省から、「保育所におけるアレルギー疾患生活管理指導表」が作られました。しかし、保育所と幼稚園では管轄する役所が違うためなかなか広まっていないのが現状です。
そこで、これら役所間の垣根を乗り越えた「就学前施設版」を作成して、独自に活用を始めた自治体もあります。これをご紹介しておきます。ご自身でこれをうまく利用してみてはいかがでしょうか。
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