麻疹・風疹(MR) 予防接種 教えて!ドクター
風疹とは、体にぶつぶつが出る病気です。患者のくしゃみの中のつばを吸い込んだり、手に付いたつばが目や口などから入ったりしてうつります。飛沫感染といわれインフルエンザと同じですが、風疹の感染力はインフルエンザの数倍です。そして、2週間くらいの潜伏期間の後に、ぶつぶつが顔と体の中心部に出て手足に広がり、3〜7日くらいで治ります。風疹自体は比較的軽いことがほとんどなので怖がる必要はありません。
風疹の免疫のない女性が妊娠中に風疹にかかると、妊娠初期では70%程度の確率で赤ちゃんに障害が出ます。つまり、病気自体は軽いけど、お腹にいる赤ちゃんに障害が出ることが問題なのです。一方、妊娠20週以降の感染であれば、ほぼ障害は出ません。
この障害は、先天性風疹症候群と呼ばれます。白内障、心臓の障害、耳が聞こえない、などが代表的なものです。昭和40年に、沖縄で風疹が大流行したときに、米軍機が飛んでいてもスヤスヤ眠っている子どもがいることで難聴がわかったという話があります。
2018年から風疹が再び流行しています。2019年1月に先天性風疹症候群の赤ちゃんが1人報告されました。このまま流行が続けば、さらに多くの先天性風疹症候群の赤ちゃんが産まれると考えられます。
6年前、2013年の風疹患者報告数は1万4000人を超え、45人の先天性風疹症候群の赤ちゃんが産まれ、そのうち11人の赤ちゃんは合併症で死亡しました。障害を持つかもしれないからと中絶した妊婦はこの何倍もいたと考えられています。私の病院でも、妊婦の夫が2人、妊婦の実父が1人、風疹になり、流行を実感しました。赤ちゃんに障害が残る可能性のある人もいて、結果的に大丈夫でしたが「大丈夫と言われても産まれてみるまでは不安だった」と言っていました。
「必要な2回のワクチンを打っていない大人がたくさんいるから」です。
風疹のワクチンを一生で2回打っていれば、ほとんどかかりません。現在では麻疹風疹混合ワクチンを1歳と5歳の2回打っているので、子どもの患者は少ないのです。しかし、2019年3月現在、日本で育った40歳以上の男性は風疹ワクチンを1回も打っていません。妊娠しない男には関係ないからと、昔は男には風疹ワクチンを打っていなかったのです。また、30〜39歳では、男性も女性も1回しかワクチンを打っていません。本当はもう一回ワクチンを打つべきなのです。
過去に妊娠したことのある女性は、風疹の検査をしているはずです。「風疹HI」という項目が、8倍未満、8倍、16倍だった人は、次の妊娠前にワクチンを打ちましょう。ただし、ワクチン接種後には2か月の避妊が必要です。32倍、64倍、128倍、256倍…の人は免疫があるので不要です。
授乳中の人は、2か月の避妊期間をとりやすいので、ワクチンにお勧めの期間です。
ワクチン接種後の避妊期間は、女性2か月間、男性は不要です。
小児科、産婦人科、トラベルクリニックなどで打てます。費用は7000円くらいです。
妊娠を考えている女性が風疹ワクチンを2回打っておくことが最も大事ですが、40歳以上の男性が風疹ワクチンを打ってくれないと、風疹の流行を止めることはできません。家族や周囲に妊婦さんがいなくても、ワクチンを打ってください。アメリカやカナダなどでは、しっかりしたワクチン制度によって、風疹の患者自体がほとんどいないため、先天性風疹症候群の赤ちゃんはゼロになっています。先天性風疹症候群はゼロにできる病気です。周囲にもワクチンを勧めて、悲しい思いをする人をゼロにしましょう。
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