皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
赤ちゃんの肌は薄く、バリア機能が未熟で、乾燥の強いこれからの秋・冬はスキントラブルが起きやすい季節になります。赤ちゃんはお母さんのおなかの中で、羊水に浸っていて皮膚は乾燥から守られていますが、生まれた直後から空気にさらされて乾燥している環境に適応しなければなりません。生後2か月頃まではお母さんからのホルモンの作用で皮脂が多くなりますが、その後皮脂は減り、思春期までは皮脂が減る時期になります。個人差がありますが、この皮脂が減る時期にスキンケアを充分おこなうことで、スキントラブルを減らすことができるのです。
赤ちゃんの薄い肌は、乾燥やひっかき傷などで簡単に傷ついたりひび割れができたりして、皮膚を守るバリアー機能が低下します。その結果、ばい菌が入りやすくなり「とびひ」ができたり、ダニ、ほこり、さらには食物(食べかす)などが皮膚から入ることで鼻炎・喘息だけでなく、食物アレルギーの原因になることもわかってきました。赤ちゃんのスキンケアをすることが、皮膚の感染症の予防や、将来のアレルギー体質の予防につながることがわかってきたのです。
お風呂タイムは、お子さんのスキントラブルの発見、お肌を清潔に保つことと保湿のための大事な時間です。熱いお風呂に入ると皮脂が流れやすくなったり、かゆみを起こしやすくなるので、39℃ぐらいのお湯にゆっくりと時間をある程度かけて入りましょう。リラックス効果と保湿効果の両面でお薦めです。
入浴時のお肌の洗浄は、弱酸性の石鹸をよく泡立てて、素手に泡をつけて、泡で汚れを落とすつもりで洗います。特に1歳以下のデリケートな肌にはガーゼやナイロンタオルは肌を傷つけるので使用しないでください。1歳を超えて汚れがひどい場合にはやわらかいタオルを選び、泡を多めにつけて洗いますが、その時でもゴシゴシ洗うのはやめてください。特に耳の後ろ、肘、膝の裏は丁寧に洗ってください。
さて、入浴後はいよいよ保湿剤の出番です。せっかく水分を含んだ肌を保湿するためですから5分以内に手際よく塗りましょう。よくバスタオルをつかって入念に水分を拭き取る方がいらっしゃいますが、入浴後5分以内に保湿剤を塗り終わるためには、濡れた体をざっと拭けばよいわけで、多少残った滴も込みで保湿するという感覚で塗ると短時間で塗り終わることができるはずです。
油脂性軟膏のワセリンは皮膚を保護する作用が中心の軟膏ですので、入浴後などの乾燥状態に塗っても保湿効果は半減、しっとりとした状態の皮膚に塗ることが大切です。一方、保湿剤は、保湿成分が含まれているので、より効果的です。さっぱりタイプのローションタイプ、しっとりしたクリームタイプがあります。ローション系は軽いかさつきや、汗をかきやすい夏にはお薦めですが、秋冬の乾燥の強い時期にはクリーム系や油脂性軟膏がお薦めです。
毎日使うものなので、赤ちゃんの肌に合うことは大事ですが、お父さんお母さんが使ってイヤでないものという感覚も大事です。あえて「お父さん」と書きましたが、お子さんとのスキンシップができる貴重な時間です。お子さんの成長は早いものです、是非お父さんもお子さんの保湿に参加しましょう。
おむつかぶれは様々な原因で起きますが、一番の原因は尿や便が皮膚に直接刺激を与えることでおこる皮膚炎です。特に下痢の時には起きやすいのです。おむつ交換のたびに、処方していただいた軟膏を塗って、皮膚をカバーし、尿や便の刺激を受けないようにすることが大事です。また使い捨てのおしり拭きは、製品によっては目が粗く、こすることで皮膚炎を悪化させることがありますので、お風呂場でお尻をぬるめのお湯であらい、やわらかい布で押し拭きするとおむつかぶれを治しやすくなります。
爪をよく切っておくことは大事ですが、切った直後ほど爪の先端がつんつんととがってしまい、かえって皮膚を自分で傷つけることがあります。お母さんのネイル用つめヤスリでも結構ですので、爪の先端がなめらかになるようにお手入れをしてあげてください。顔の傷の防止、とびひの予防に有効です。
様々な湿疹(皮膚炎)にステロイドの軟膏やクリームが処方されます。皮膚に炎症が起きることで皮膚が赤くなったり、硬くなったり、もりあがった状態になったものと考えることができます。ステロイドは炎症を抑える抗炎症作用のある効果的なお薬です。ステロイドは弱い作用のものから強い作用のものまでいろいろなグレードのものがあります。通常赤ちゃんにはさほど強くない作用の塗り薬が短期間処方されます。医師の指示を守って適切に使って赤ちゃんの肌トラブルを治してあげましょう。
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