おっぱい ママの病気・健康 教えて!ドクター
乳がんになる人が増えています。現在は、11人に1人の女性が生涯の間に乳がんに罹り、毎年約9万人の女性が乳がんに罹ると推計されています。乳がんは30歳代から増加し、40歳代後半に最多になる、働き盛りの女性に多い病気です(図1)。また、乳がんになった女性の約20%が乳がんで亡くなるという厳しい現実があります。
乳がんは女性ホルモンであるエストロゲンや栄養に影響されます。そのため、乳がんになりやすい女性の特徴として、①出産をしていない ②初産が遅い ③授乳経験がない ④初潮が早いあるいは閉経が遅い ⑤閉経後ホルモン補充療法を長期間行っている ⑥肥満である ⑦アルコールを飲む量が多い ⑧背が高い、などがあります。一方、適度な運動は乳がんリスクを下げることが知られています。
遺伝子が関わる遺伝性乳がんがあります。遺伝性乳がんは乳がんの5〜10%を占めます。遺伝性乳がんには、若い年齢に発生しやすい、両側乳房に発生しやすい、卵巣がんが発症しやすいなどの特徴があります。血縁に複数の乳がんの人がいるような場合、専門医と相談してください。遺伝性乳がん遺伝子を認めた場合、18歳から自己検診、25歳から乳房MRI、30歳からマンモグラフィ、乳がんや卵巣がんのリスク低減手術など、通常とは違う検診や医療が推奨されます。
乳がん検診には市区町村が行う対策型検診と人間ドックなどで行う任意型検診があります。対策型検診は、40歳以上の女性に対して、2年に1回、マンモグラフィを用いて行われます。対策型検診に用いるための条件である、死亡率減少効果を科学的に証明されているのは、マンモグラフィ検診のみです。一方、任意型検診では、検診を受ける人の希望により、マンモグラフィだけでなく、触診や乳房エコー(乳房超音波検査)や乳房MRIなども選択できます。40歳以下でも、毎年でも、検診を受けることが可能です。職域検診は市区町村が行う検診と人間ドックの中間のようなタイプです。自分が受けることができる検診、自分に最適な検診を見つけて受診してください。
マンモグラフィはレントゲンを使って行う検査です。レントゲンが通りやすくするために、乳房を圧迫して薄くします。乳房エコーは、超音波を乳房に当ててはね返ってきた反射波をコンピューターで画像化したものです。両検査の特徴を把握して、一方だけを行ったり、両方を行ったりします(表1)。
乳房は主として乳腺と脂肪により構成されています。そして乳腺の比率が多い場合、マンモグラフィでは乳房が白く写り、肝心のしこりが隠れてしまいます。このような乳房をデンスブレスト(高濃度乳房)と言います。デンスブレストは日本女性に多く、なかでも若い女性に多く認められます。デンスブレストに対しては、乳房エコーが有効です。
検診は症状がない人が対象です。乳房に気になるところがある場合、乳腺を専門としている医療施設を受診してください。
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