アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
明らかに増えています。例えば東京都の3歳児の食物アレルギー罹患率(症状あり)は平成11年と平成21年で9.4%から21.6%と倍増しています。近代化による衛生的な環境が一因と考えられています(衛生仮説)。
“乳児期にアレルギーを起こすといけないので、卵は1歳をすぎるまで待ちましょう”と指導していた時代もありましたが、近年は逆に“早く食べさせることでアレルギーを発症させない”という考えが主流です。ピーナツを乳児から食べさせている国のほうが、1歳まで控えている国よりピーナツアレルギーが少なかったという有名な論文があり、2016年には日本で、生後6か月からゆで卵を少量ずつ食べさせた方が卵アレルギーになりにくかった、という報告がでました。2017年には米国からピーナツアレルギー予防のため乳児期から食べさせるべきというガイドラインも出ています。このことから、離乳食がはじまったら、一種類ずつ試していくのが良いと思います。症状が出たら受診できる体制で、少しずつあげるようにしましょう。
アレルギー科や小児科で検査だけでなく症状や生活歴についても相談しましょう。症状が起きれば命に関わることもありますので、症状が起きたときの対応までしてくれる医師を見つけてください。相談して納得がいかないときや説明が足りないときは他の医師にも意見を訊くと良いでしょう。
食物アレルギーは原因物質(抗原)を食べるより、皮膚から粒子をあびることで感作するという説が有力になっています。寝室中のピーナツ抗原濃度が高かったり、ピーナツオイルを塗っている赤ちゃんでピーナツアレルギーが多いという報告があります。乳児湿疹がある子がアトピーだけでなく食物アレルギーを発症しやすいこともわかっています。皮膚からの感作を減らすには皮膚の健常な状態(バリア機能)を保つことが重要という考えから、スキンケアをしっかり行うことで食物アレルギーが減らせるか、という研究も行なわれています。
一方で、食べることはむしろアレルギー反応を起こさなくすることが期待できるので、少量ずつ食べ続けることでアレルギー反応が出ないようにする治療(経口減感作療法)が行われています。
1980年代にメディアがステロイドは危険と煽った影響があり、ステロイドを過剰に怖がる方がいます。皮膚炎・湿疹は、乾燥、汗の刺激、掻くこと、などで悪化していきます。スキンケアだけでも徐々に改善しますが、しっかり治すにはステロイド軟こうが必要です。ステロイドは正しく使えば決して危険な薬ではありません。副作用で皮膚が黒ずんだり硬くなることはありません。むしろ皮膚炎がつづくことでこれらの症状が出ます。小児科や皮膚科でステロイド軟こうの適切な種類・量・回数を教えてもらって治療しましょう。
スギ花粉症は低年齢化が進んでいますが、発症するのは早くて3歳頃からです。小児ではまだ対症療法が中心ですが、成人では舌下免疫療法が広く行われるようになってきています。前述した食物アレルギーの経口減感作療法と似ていますが、毎日少しずつ薬を摂取することで耐性をつけて症状を起こさないようにする治療です。2016年現在では12歳以上限定でスギとダニの薬しかありませんが、手軽に行える治療といえます。
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