便秘 子どもの病気 教えて!ドクター
「排便がちゃんとできないのはしつけが悪い」、「便秘なんてそのうち治る」などと考えている人が少なくありません。医師に相談してもあまりちゃんととり合ってもらえず、姑さんに相談しようものなら、嫁のしつけが悪いと言われ、お母さんが一人で悩みを抱えているという場合も少なくありません。残念ながら、医師も、一般の人も便秘が病気という認識が薄いことも一因だと思います。便秘とは「便がお腹から出てこない状態、もしくは便を出しにくい状態」を指します。そして、その事によって、お腹が張るとか、お腹が痛いとか、食欲がなくなるなどの症状があり、日常生活に支障をきたすような場合には治療が必要です。
便は、消化しきれなかった食べ物、腸内細菌、腸の細胞、水分.塩分などからできており、食べる量により便量も変わります。食べた分に見合った量の便が出なければ、便は溜まるので、毎日、ちゃんと排便があっても、便秘ということはあるのです。
さらに、トイレットトレーニングが完了すると、特に小学生以降になると、親御さんは子供の便の状態を毎日観察しない事が多くなり、しっかりとした量の便が出ているかどうかは子供にしか分からなくなります。また、子供達に便の量、硬さや色を聞いても、ちゃんと見ていない子が多いです。毎日、うんちが出ているはずなのに実は便秘であるということで『かくれ 便秘』と私は外来でお話をすることがあります。
外来では「お腹が痛い」というのが一番多い症状です。救急外来にお腹が痛いとやって来る子達の中には、便秘の子が多くいます。中には「うちの子は、毎日うんちをしているし、今朝もうんちをしたから、絶対に便秘じゃありません」と最後まで便秘という診断に納得してもらえない親御さんもいます。浣腸して、コロコロの便や大きな便が出ると、スッキリして腹痛も良くなってしまいます。嘔気、嘔吐、食欲低下で来られる場合もあります。さらにひどくなると、パンツがいつも便で汚れている、便を漏らす、おむつがなかなか外せない、下痢をするということで来院される方もおられますが、親御さんも紹介してくださる医師すらも、原因が「便秘」ということを全く考えていない場合が多いです。
便が腸の中に長く留まると、水分が吸収されて硬くなり、お尻から出にくくなります。新しい便がお尻の近くまで降りてきても、前の便が残っていると、そこにまた便が留まります。すると、また水分が吸収されて、便はどんどん溜まり、どんどん硬く大きくなります。その便がお尻の穴を塞ぐ形になるので、ますます便が出にくくなるという悪循環に陥ります。
お尻を塞ぐ『うんちの栓』は“便塞栓”と言います。こうなると、便が押し出される形で漏れ出てきたり、便塞栓の脇を便の水の成分だけが染み出してきて、パンツに知らない間に便がついたりします。柔らかい便、水のような便だけが、便塞栓の脇をすり抜けて下痢のようになることもあります。便秘らしい症状がない『かくれ便秘』の方がむしろ重症の可能性があります。『かくれ便秘』に早く気付いてあげるためにも、子供達と普段から『うんちの話』をしてください。
少量の硬い便が出る、肛門お尻の周りやパンツに便が付着する、便が中々でないのに下痢便、おしっこはトイレでできるのに便は漏らしてしまう、力んでいるが出ない、最後の排便から1週間近く排便がない、おなかの下の方に硬いものが触れる、これらは便塞栓を疑う症状です。
便塞栓がある状態で下剤を使用しても十分な効果が得られないので、まず便塞栓を除去する必要があります。浣腸が最も簡便ですが、大きく硬い便塞栓は浣腸だけでは除去できない場合があります。そのような場合には小児消化器疾患の専門医受診をお勧めします。
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