B型肝炎 予防接種 教えて!ドクター
B型肝炎ウイルス(HBV)の感染が持続すると、肝硬変や肝がんになります。肝硬変や肝がんは大人の病気と思っている方が多いと思いますが、大人でHBVによる肝硬変や肝がんで苦しんでおられる方たちの多くは、子どもの時、それも3歳児までに感染したためです。今、B型肝炎ウイルスによって肝がんになった人は、毎年6000人くらいが亡くなっています。この方たちのほとんどが、HBVを持っている(キャリア)お母さんから赤ちゃんへの母子垂直感染(分娩時に感染)によるものですが、その他に父子感染などの家族内感染や感染経路がわからない場合もあります。最近では、保育園などでの感染もあり、3歳児までに集団生活に入るお子さんたちが増えています。子どもたちがHBVに感染しても自覚症状はほとんどありません。HBワクチンは肝炎を予防し、肝がん予防ワクチンでもあります。
一番強い感染源はキャリアの血液や精液などです。しかし、それ以外にも唾液、涙、汗、鼻水、にも存在することがあります。相撲部やレスリング部での集団感染、その他にかみつきなどで感染したという報告かあります。私たちの皮膚には見えない傷があって、そこから感染すると考えられます。
我が国では、1985年にHBVキャリアのお母さんから生まれた赤ちゃんに対して予防処置を行う(母子感染防止)ことで、新たなHBVキャリアを発生させない取り組みが行われ、40年後(2025年ごろ)には我が国からHBVキャリアはいなくなるだろうと考えられ、子どもの正確な感染率を把握していませんでした。2009年に発表された16 歳以上の献血者のHBVキャリア率は0.01%でしたが、その後の調査で子どもは0.16〜0.17%であることが分かりました。母子感染防止だけでは、子どもの感染を防ぐことはできなかったのです。
先ほども書きましたが、3歳児までにHBVに感染するとキャリア化しやすいために、本来は3歳児までのすべての子どもたちにワクチン接種をすることが理想です。しかし、残念ながら今回の国の決定は、0歳児のみでした。図にスケジュールを書きました。HBワクチンは不活化ワクチンなので3回の接種が必要です。生後2か月、3か月、7〜8か月の3回を目安に接種しましょう。ただし、お母さんがHBVキャリアの場合は、図に示したように生まれて12時間以内から予防が始まります。
3歳児までに感染すると、キャリアしやすく、肝硬変や肝がんとなります。一方で、急性肝炎治っても、肝臓にウイルスが潜でいることがわかってきまし。BVに感染すると、一生悩むことになります。年齢にかかわらず、一度はHBワクチン接種をすることをお勧めします。
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