感染症 子どもの病気 教えて!ドクター
夏に流行する代表的な病気のひとつで、夏風邪とも言います。夏風邪にはほかに手足口病とプール熱がありますが、ヘルパンギーナと手足口病の原因ウイルスはともにエンテロウイルス属ですので、エンテロウイルス感染症と総称されることもあります。エンテロウイルス属にはエコーウイルス、コクサッキーウイルス、エンテロウイルスなどが含まれます。紛らわしいですね。原因となるウイルスがたくさんあるため、一度かかっても終生免疫とはならず、毎年かかることもあります。プール熱は一年中ありますが、ヘルパンギーナは夏に流行し秋以降は少なくなります。
ヘルパンギーナ(Herpangina)の名前の由来ですが、Herp(ヘルペス=水疱) とangina(狭いところ、あるいは喉の炎症)から来ているそうです。症状としては突然の高熱で発病し、喉の奥、口蓋垂(俗にのどちんこといいますね)の左右に水疱や口内炎ができるのが特徴で、喉を診れば診断ができます。数日の発熱で自然に治りますが、その間は痛みで食欲が落ち、よだれが増えます。時にヘルパンギーナのような喉に見えて、手足に発疹が出ることがあり、手足口病かヘルパンギーナか迷うこともありますが、原因ウイルスが似通っているので、病名にこだわる必要はないでしょう。おおざっぱに言えば、手足口病は熱がないか38℃程度で状態がよく、ヘルパンギーナは高熱でつらい病気と言えるでしょう。
2011年にはコクサッキーウイルスA6による手足口病が全国的に大流行しました。この時は喉を見るとヘルパンギーナのようでありながら手足のほか、膝、おしりなどに発疹が出て、1~2ヶ月すると爪がはがれるなど、これまでの印象とは違った症状が多く見られました。
食欲が落ちるために点滴を希望される保護者もいますが、長期戦ではなく、嘔吐や下痢などの胃腸症状が出ることもないので、点滴が必要となることはまれです。
ウイルス感染症で特効薬がないため、自然に解熱し口内炎が治るのを待つしかありません。氷やシャーベット、プリン、ゼリー、果物など口当たりのいいものを少しずつ与えることで乗り切れることが多いでしょう。
発熱時は高熱のことが多く登園は難しいですが、解熱すれば登園は可能です。潜伏期間は3~6日とされていますが、長期間ウイルスが排泄されるため、出席停止扱いにしても流行を止めることはできませんので、一律に休ませる必要はありません。
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