BCG 予防接種 教えて!ドクター
結核症は結核菌によって起こる病気です。1940年代、結核は日本で亡くなる方の死亡原因の2位を占め、1950年でもまだ12万人の方が結核で亡くなり、20世紀の前半、結核は「亡国病」といわれました。1962年でも結核に罹患した方は日本全国で38万人、死亡した方は2万8千人、14歳以下の子どもで罹患した方は全国で5万3千人、死亡した方は460人いました。
今日、日本で結核に罹患する方は年間2万人、亡くなった方は2200人ほどいますので、まだまだ病気がなくなったわけではありませんが、14歳以下の子どもで罹患した方は年間50人程度となり、亡くなった方は2001年以降11年間で2004年の1人のみでした。これだけ結核が少なくなってくると、特に、亡くなる方が少なくなると結核は過去の病気、と思われるかもしれません。
小児の結核の罹患数が減ってきた大きな理由は三つあります。まず、子どもの周囲に、結核に罹患する人が少なくなったことがあげられます。ついで、結核に罹患した人がみつかった際に保健所が接触者検診を行い、その対象者が結核に感染していることがわかった場合には薬を使って発病の予防をしていることがあげられます。また、粟粒結核、脳結核、結核性髄膜炎など、重篤な結核が少ないのは、小児の結核を減らす要因に加えて、BCGワクチン接種が行われていることがあげられます。
小児の結核は、新たに結核菌の感染を受けてそのまま発病する方が多いため、周囲の人で結核を発病している人が減り、結核の感染を受ける危険が減れば、小児の結核は減少します。患者が減ると次世代の感染の危険が減るという好循環になります。
どこで感染がおこるかというと、電車の中など、偶発的な感染の危険はゼロではありませんが、接触時間が短く、危険は高くありません。感染源としては、親、家族などが多く、結核の症状である2週間以上続くせき、痰などの症状がある時は、医療機関受診を勧められます。しかし20〜40歳台では結核を発病する方は人口1万人に年間1人程度と少なくなっており、せき、痰が続いていてもその多くは、結核ではありません。が、それでも、せき、痰が続くときは医療機関を受診し早く診断することが勧められます。
小児の結核は、新たに結核菌の感染を受けてそのまま発病する方が多いため、周囲の人で結核を発病している人が減り、結核の感染を受ける危険が減れば、小児の結核は減少します。患者が減ると次世代の感染の危険が減るという好循環になります。
BCGワクチンは、約1世紀前に開発された結核予防のためのワクチンです。世界中で広く行われています。結核が非常に減った国では、非常に少ないとはいえ副反応の頻度を無視できず、スウェーデンなどBCGワクチンを中止した国もあります。残念ながら日本はまだBCGワクチンを中止した方がよいほど結核が減ってはいません。BCGワクチンは結核発病の危険を減らしており、特に粟粒結核、髄膜炎など体中に広がる結核の発病の危険を減らすのには有効とされていますが、結核を完全に予防できるわけではありません。現在、予防接種は生後1年以内に行っていますが、中でも生後5〜8ヵ月で行う事が勧められています。
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