おっぱい ママの病気・健康 教えて!ドクター
「検診を受けましょう」という掛け声はよく耳にしますが、検診て何なのでしょうか? 検診には2種類あります。一つは集団検診、もう一つは個人で受ける人間ドックでの検診です。両者は目的が違います。
集団検診は、行政が予算を投じる価値のあると考えた疾患に対して行われます。すなわち、頻度が高くて早期発見しやすいものに対して、受診者全体の健康被害や医療費を最小にすることを目的としています。乳がんは、集団検診に含まれていますので、罹患頻度が高く、早期発見しやすい病気ということが言えます。
一方、個人で受ける検診は、罹患頻度の低い疾患や早期発見が難しいものも含み、個人が自身に対して投資するもので、個人の健康利益が最大になることを目的としている検診です。
「検診」は健康診断の省略である「健診」とも書きます。要するに、健康な時にこそ受けるべきものと思ってください。乳房で言えば、しこりも何も触れない時期に、検診は受けるべきなのです。
ということは、
①普段から健康であるかどうか自分でも確認する習慣を身につけるということ。
②集団検診のお知らせには応じること。
③集団検診の対象者に該当しない場合でも、疾患の基礎知識を持ち、個人の検診を受けられることも知っておくこと。
④症状がある場合は、検診ではなく病院や医院を受診すること。
以上の4つを知っておいていただきたいと思います。
では、乳がんとはどんな病気なのでしょうか? 40代にピークがあり、20代から80代まで誰でもなる可能性がある病気です。日本人女性は16人に1人、欧米人女性は8人に1人の割合で罹患し、男性ですらその頻度は低いものの患うことがあります。
乳汁を作る小葉という部分や、乳汁を運ぶ管である乳管の細胞が突然分裂を始めて、その分裂が止まらなくなる病気です。遺伝性のものは全体の5〜10%と言われており、その他は原因不明です。
がん細胞が発生してからゆっくり乳管の中で増殖し、しこりを作るまでには何年もかかります。しかしそのままにしていると脇などのリンパ節を経由して他の臓器に転移し、その臓器機能が奪われると致命的になる病気です。
早期発見すれば少ない労で助かりやすく、進行していても多くの労力をかければ治る人は増えてきていますが、やはり進行している人ほど治りにくい人の割合は増していきます。他のがんより治癒率は高いですが、女性がかかるがんで一番多いがんであり、若い世代もかかりうる病気ですので、この治癒率を更に向上させることが、社会の課題となっています。
マンモグラフィーというX線検査は、閉経する50歳くらいからが診断しやすくなります。X線は硬いものほど白く写るので、閉経後の柔らかい乳房は黒っぽく写り、腫瘍の白い影が目立つためです。一方、50歳未満の女性の乳房は全体が白く写り、同じく白く写る腫瘍の影が目立ちません。
超音波検査においては、逆に、白く写る正常の乳腺組織に対して、腫瘍は黒い影として写し出される特性を持っているので、コントラストがついてわかりやすいのです。
自治体が勧めるマンモグラフィー検診が40歳以上になっている理由は、本来なら50歳以上としたいところを日本人の乳がんのピークが40代後半にあるため、好発年齢をはずせないという理由からです。よって、理想的には、40代はマンモグラフィー検診に超音波検査も組み合わせることができればより安心です。40歳未満の場合は、集団検診の対象になっていませんので、個人で検診を受けることになりますが、超音波検査を優先させるとよいでしょう。
自己検診は、毎月生理が終わるころくらいから排卵までの時期が、乳房の痛みが少ないので適していますが、いつ触ってもよいのです。入浴時、石鹸をつけた手の指の腹で撫でるようにまんべんなく触ります。座布団の下にある古く丸まった消しゴムを探り当てる感覚です。右乳房の検診は、右手を挙げて左手で行います。その日、ベッドの中でも仰向けになって、同様のことを行ってください。
お乳の健康を守るために、乳がんに関する正しい知識を持ち、自己検診を毎月行うことで意識を高め、定期的に年齢に合わせた検診をし、早期発見を心がけることで、乳がんで悲しむ人(本人、家族、仲間)が少しでも少なくなるようにしていきたいものです。
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