発達障がい 子どもの病気 教えて!ドクター
ことばの遅れもなく、家の中ではよくおしゃべりするのに、保育所、幼稚園や学校などでは、まったく話ができない場合や、ほとんどお話しできない状態を場面緘黙と診断します。
家ではしゃべっているので、気づかれるのが遅れ、そのうちにしゃべるだろうと思って様子を見ているうちに卒園式を迎える場合もよくあります。0.2〜0.7%くらいの発現頻度ですので、規模の大きい幼稚園や保育所では一人はいる計算になります。やや女児に多いようです。
場面緘黙がある子は、しゃべることを要求される場面で、不安や恐怖を強く感じます。ご家族に入園前の状態を聞いてみると、物心ついた頃から、家族以外の人や新しい場所に慣れにくい内弁慶の子が多いです。このような子どもは、保育所や幼稚園に入ると不安が急激に高まります。このような状態を、対人恐怖に似た状態の社交不安といいますが、症状が強い子の中には、しゃべろうとしても集団の場では話すことができなくなることがあります。1〜2ヵ月すると慣れてきてお話しできる子が多いのですが、1ヵ月以上も園でしゃべらない場合に場面緘黙と診断されます。
場面緘黙は、社交不安が強い子どもの成長期に見られる症状の一つと考えられています。障害と名前がついていますが、適切な関わり方や治療により治る可能性があるのが他の障害と違う点です。なかには、発達障害や心身症が隠れている場合があります。
早く気づいて周囲の人達が適切な関わり方や適切な接し方をすると、早くしゃべることができるようになる子どもが多いようですが、しゃべれるようになるまでには、年単位の時間がかかります。ことばが出るようになっても、人と接する場面では不安が強く、悩み、自信を失ったり、人が多く集まる場所を回避することが多いです。幼児期、遅くとも小学校低学年までに、発見し支援を開始すると、早くしゃべり始める場合が多いようです。中学校、高校生になって、はじめて相談に来られる場合もあります。
適切な接し方を身につけることが最も大切です。かんもくネット(http://kanmoku.org/)のホームページを開くと、幼稚園や保育所、家庭での対応などの具体的な内容が掲載された資料がダウンロードできます。
子どもを責めて無理に話させようとしてはいけません。長い目で見ることは大切ですが、暖かく見守るだけでは症状が固定化していきます。緊張や不安や恐怖感を軽くし、参加できやすいような活動を工夫します。得意な活動を見つけ自信をつけていく取り組みも良いですね。早い時期に、ことばの教室や子どもの心身医療に詳しい医療機関などに相談することをお勧めします。
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