麻疹・風疹(MR) 予防接種 教えて!ドクター
発熱、発疹、耳後部のリンパ節の腫れが特徴的で、発疹出現前後1週間は周りの人にうつします。症状は軽い人から、脳炎等を合併して重篤な人まで様々です。風疹に罹ったと思いこんでいた人の半分程度が風疹ではなかったという研究もあり、症状のみで風疹と診断するのは困難です。
風疹に対する免疫が不十分な妊娠20週頃までの妊婦が風疹ウイルスに感染すると、胎児にも感染し、白内障、先天性心疾患、難聴等を特徴とする先天性風疹症候群の赤ちゃんが生まれることがあります。特に妊娠1~2ヵ月で感染すると頻度が高く、妊娠4~5ヵ月での感染では難聴のみが多くなります。
昔は5~6年ごとに大規模な全国流行がみられていましたが、男女幼児が風疹ワクチンの定期接種の対象になってから、大規模な全国流行は見られなくなりました。2004年に、推計約4万人の流行があり、10人の先天性風疹症候群が報告されましたが、その後は流行も抑制され、先天性風疹症候群の報告も年間0~1人でした。ところが、2011年にアジアで大規模な風疹流行が発生し、日本にも風疹ウイルスが持ち込まれました。
2012年には近畿地方で流行規模が大きくなり、年間報告数は2392人に上りました。2013年は首都圏で急増し、2013年5月8日現在、全国に流行が拡大しています。今年第1~17週までの累積報告数は5442人となり、今年第1~17週〔5442人〕と、昨年第1~17週〔158人〕を比較すると、今年は昨年の約35倍です。
2012年10月~2013年4月までに10人の先天性風疹症候群が報告されましたが、母親が感染した時期は昨年前半と考えると、今年の後半が心配です。
小児は風疹含有ワクチン(風疹ワクチン、MMRワクチン、麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン))を2回接種している人が多く、現在、患者の9割が成人です。男性が女性の約3.5倍多く、男性は20~40代、女性は20代に多い(図)という特徴は、風疹の定期接種制度で説明できます。
■図 年齢別接種歴別風疹累積報告数
風疹も、先天性風疹症候群もワクチンで予防可能です。感染・発症する前に、ワクチンを2回受けて、十分な免疫を獲得しておきます。受けるワクチンは麻疹も一緒に予防できるMRワクチンがお奨めです。今は、1歳児と小学校入学前1年間にそれぞれ1回ずつ、合計2回のMRワクチンをうけることになっています。
妊娠中はワクチンを受けることができないので、妊婦の夫、子どもなど同居家族にMRワクチンを受けてもらいます。妊娠を希望する女性は妊娠前に2回接種を受けておくと安心です。これから結婚を考えているカップルは二人でワクチンを受けておきましょう。
首都圏を中心として、接種費用を助成してくれる自治体が増えています。お住まいの市区町村に問い合せてみましょう。小児科を標榜している医療機関なら、たいてい接種可能です。
発症すると、風疹も先天性風疹症候群も特異的な治療法はありません。風疹を発症したら、学校・職場を休み、周りに感染を広げないようにマスクをつけた上で、医療機関を受診しましょう。
※生年月日別の定期接種の制度は、
国立感染症研究所のHP:風疹のサイト
http://www.nih.go.jp/niid/ja/diseases/
ha/rubella.htmlにある、風疹の定期予防接種制度の変遷
http://www.nih.go.jp/niid/images/iasr/
34/398/graph/t3982j.gifをご参照ください。
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