けいれん 子どもの病気 教えて!ドクター
乳幼児期は、生涯で最もけいれんを起こしやすい時期ですが、大部分は有熱時に起こる熱性けいれんです。けいれんを目の当たりにすると、驚き慌てますが心配はいりません。
38℃以上の発熱に伴って乳幼児に起こる発作で、脳炎・髄膜炎などのないものを指します。ほぼ7割は発熱後24時間以内にみられます。意識がなくなり全身が硬くなり、時にガクガクする発作が大部分ですが、力が抜けて動かなくなるだけの発作もあります。
原因はまだ解明されていませんが、高熱と感染に対する免疫反応が、未熟な脳に作用して起こると考えられています。年齢が進むと通常起こさなくなります。
わが国の小児人口における熱性けいれんの割合は8~9%です。欧米では2~5%と報告されており、日本人は熱性けいれんを起こしやすい民族です。子どもの10~20人に1人が一生の間に1回は熱性けいれんを経験します。1歳代が最も起こしやすく、約8割は生後9ヵ月~2歳半の間に見られ、4歳以降では非常に少なくなります。
熱性けいれんを起こす体質は遺伝することが知られており、きょうだい、または片親が熱性けいれんの既往がある場合の発症の確率は、既往が無い場合に比べ3~4倍高くなります。両親とも熱性けいれんの既往がある場合はさらに高くなります。複数の遺伝子と環境要因が関与して発症すると考えられています。
どんな発熱に際しても起こりますが、私の経験では突発性発疹およびインフルエンザで見られることが多いと感じます。発作の際の家庭での対処方法を表1に示しました。発作が5分以上続く場合は救急車を呼んでください。短い間隔で繰り返し発作が起こる場合も同じです。30分以内に病院で治療を受け、けいれんを停止させることが望ましいとされています。
短い発作でも1歳未満で初めての発作の場合は、なるべく早く医師の診察を受けましょう。
【表1】発作の際の心がけ
①安全な場所に寝かせる。
②衣服をゆるめ、顔を横にむけて、吐物をのどに詰めないようにする。
③口の中に物を入れてはいけない。
④発作の長さを計り、体温を測定する。
⑤あまり声をかけたりゆすったりしない。
⑥もとに戻るまでそばにいる。
熱性けいれんを起こした子の半数以上は生涯に1回しか発作を起こしません。3回以上発作を起こす子はわずか9%です。熱性けいれんを2回以上起こす子に多い特徴としては①1歳未満での発症。②家族が熱性けいれんをもっていた。③1日に2回以上発作を起こした。④発作時の体温が低め(38℃台)。が挙げられます。
発熱時に発作を予防するためジアゼパム坐薬(ダイアップ®)を使う方法があります。前述の①~③のいずれかに当てはまるか、または過去に3回以上の発作を起こした子どもが適応です。使い方は医師にご相談ください。 解熱剤は発作を予防する効果はありませんが、高熱による子どもの苦痛を緩和する目的での最小限の使用は問題ありません。
発作後の予防接種は主治医の判断で1ヵ月後から可能です。ただし、非定型の発作(表2)では小児神経専門医の指導が必要です。
熱性けいれんの子どもが将来てんかんを発症する確率は7歳までに2~3%、10歳までに4.5%で、一般人口での確率の数倍程度です。ただ、家族にてんかんの人がいる場合や、非定型の発作を起こした場合は、これより高くなります。
【表2】非定型の発作(てんかんのリスクあり)
●左右差がある、または体の一部のみの発作
●20分以上続く発作
●24時間以内の繰り返し
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