夜泣き・夜尿症 子どもの病気 教えて!ドクター
夜尿症は命に関わる病気でないため、一般の方には「たかが夜尿症」でしょうが、夜尿症の親子は「されど夜尿症」で密かに悩み苦しみます。
重症の病気ならば同情も感じられるでしょうが、「夜尿症」は他人に深刻さを理解してもらえません。
「いずれはなくなる」と言われても、キャンプ、合宿、自然学校そして修学旅行と宿泊行事が増える中、予定日が近づけば楽しい思い出にならないと、参加を悩む日々となります。
「おねしょ(寝小便)」は、睡眠中の知らないうちにおむつやパンツに「おしっこ」をもらすことで、5歳未満までの生理現象で病気ではありません。
赤ちゃんは尿をためる膀胱という袋が小さく、夜も昼も同じ間隔でおしっこをしますが、2歳頃から、膀胱にためられる量が増え、寝ると尿量を減らす抗利尿ホルモンで尿量も減り、年々「おねしょ」をしなくなります。
しかし、5歳を超えて週3回以上、夜の睡眠中におもらしをしますと「夜尿症」という病気です。昼の起きている時に無意識におもらしするのを「尿失禁症(昼間遺尿症)」と言います。夜と昼の両方でおもらしする場合もあります。
夜尿症は5歳で20%、小学1年で15%とまれではありません。小学校高学年には5%前後となります(図)。
●図:夜尿症の自然史
夜尿は小学入学頃か、宿泊行事が近づくと外来に相談に来られますが、小学入学後から相談されるとよいでしょう。
中学生には、ほとんどなくなりますが、成人になってもみられる場合がまれにあります(0.1〜0.3%)。
夜尿症の原因は3つあり、
⑴夜中の尿量が多い(夜の尿量を減らす抗利尿ホルモン不足)
⑵夜中の膀胱容量が増えない
⑶睡眠リズムの問題
1つの場合と、複数が混在する場合があります。まれに発達障害や膀胱周辺の先天性異常があります。
治る時期は、個人差がありますが、放置の場合は中学生頃が多いです。治るまでに長期間かかり、子どもが自信をなくしたり、ストレスを感じたりしますので早目に相談ください。
夜尿症は治っていれば、大人になって問題になりません。坂本龍馬やノーベル物理学賞のアインシュタインも夜尿症でした。
①生活指導
まず親子がともに何とかしよう、何とかできると前向きに考えることです。
飲水が膀胱到達に2〜3時間かかりますので、寝る前2時間以内の飲水は寝る前に排尿できず夜中に出ます。夕食後は飲水せず、どうしてもの時は冷凍庫の氷1〜2個を口腔中で溶かし潤してください。
自信を持たせるため夜尿がない朝はほめてください。夜中に親が無理矢理起こしてトイレに連れていくと睡眠リズムを乱しますので止めましょう。
心理的なプレッシャーはマイナスで、夜尿があっても怒らない、きょうだいや他人と「比べない」ことも忘れずに。
②薬物治療
夜中の尿量が多い場合は抗利尿ホルモン薬です。以前は点鼻薬のみで風邪やアレルギー性鼻炎で鼻水・鼻閉があると効果が不安定でしたが、今年、水なしで口腔内融解する経口薬が発売されました。
トイレが近く膀胱容量が少ない場合は抗コリン薬の併用も考慮します。抗うつ薬は副作用の問題で昔ほど投薬しません。
③アラーム療法
パンツに水分を感知するセンサーを取り付け、夜尿時にアラームが鳴ったり、バイブレーションが作動したりする機械を活用します。
夜尿時に起こしトイレに連れて行き完全排尿させます。続けると条件反射で膀胱容量が大きくなります。
親が起こさなければならないので、親の協力が不可欠です。
①生活指導に続いての、②薬物療法か、③アラーム療法かの選択は専門医※と相談ください。
※「夜尿症ナビ」相談ができる医療機関
●夜尿症の対応および治療
①生活指導
夕食後の水分控え目。ほめる、起こさない・怒らない・焦らない・比べない。規則正しい生活。冷え対策など
②薬物治療
抗利尿ホルモン薬(経口薬・点鼻薬)、抗コリン薬、抗うつ薬など
③アラーム療法
機械を購入。親の協力のもとで条件反射をつくる
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