おっぱい ママの病気・健康 教えて!ドクター
乳がんは日本人女性にできるがんの中で最も多く、今後も増えると予想されています。乳がんは30歳代から90歳代まで全年齢に発症しますが、特に40歳代後半が最もなりやすい年齢です(図1)。
●図1:10万人あたりの年齢階級別推定罹患率(2007年)
最近のデータでは、日本人女性の16人に1人が乳がんになっています。誰がなっても不思議はありませんから、30歳を過ぎた女性は普段から気をつけることが必要です。
乳がんは〝しこり〞として発見されることが多く、その他皮膚のひきつれや乳頭からの分泌液で見つかることもあります。いずれもご自身で気づく症状ですから、自己検診は重要です。
さらにしこりのない小さながんがマンモグラフィーによって見つかる場合もありますから、40歳を過ぎたら定期的な検診を受けましょう。
乳がんは“しこり”として触れることが多く、自分で見つけることも可能です。今日から自己検診を始めましょう。月1回、閉経していない女性の場合は生理が終わった時期に行います。
まず、鏡の前に立ち両腕をあげ、左右の乳房が対称か、ひきつれや変形、乳頭の陥没がないかチェックします。次に、仰向けに寝た状態で手を広げて乳房の上に置き、軽く力を加えて指のはらを滑らせるようにして調べます(図2)。
●図2:乳がんの自己検診
仰向けに寝た状態で手を広げて乳房の上に置き、軽く力を加えて指のはらを滑らせるようにして調べます。
右手で左の乳房を外側から内側に滑らせ、上から下へ位置をかえて繰り返し、乳房全体をチェックします(図3)。右の乳房も左手を使って行います。
もし、しこりがあれば周囲とは違って固まりとして触れるか、手に抵抗を感じます。最後に腋の下にしこりがないか(リンパ節の腫れで乳がんがみつかることがあります)、乳頭から分泌液が出ないか確かめます。
●図3:乳がんの自己検診
右手で左の乳房を外側から内側に滑らせ、上から下へ位置をかえて順番に繰り返し、乳房全体をチェックします。右の乳房も左手を使って行ないます。
乳がん検診には医師による触診に加え、マンモグラフィーやエコー(超音波検査)による検診があります。マンモグラフィーは乳房を圧迫して撮影する検査なので多少痛みを伴います(図4)。
図4:マンモグラフィーの撮影
(乳房を斜めに圧迫して撮影する)
一般的に若い女性(40歳未満)では乳腺が発達しているためにマンモグラフィーではしこりが見つかりにくい、という欠点があります。この検査では小さなしこりのがんだけでなく、石灰化(白く小さな点として写る、図5)を伴う微小ながんを発見することが可能です。
図5:マンモグラフィーで見つかる石灰化
(白い点の部分)
一方、エコー検査ではゼリーを塗り、探触子と呼ばれる器具をあてて乳房を調べます。この検査はしこりのがんを見つけるのに優れていますが、石灰化を見つけにくいのが欠点です。
市町村による乳がん検診では通常40歳以上の女性を対象に、2年に1回マンモグラフィーを行なっています。企業にお勤めの女性では、職場の検診で受けることになります。
マンモグラィーでは石灰化をおこす微小な乳がん(極めて早期の乳がんのことが多い)を発見することが可能で、この段階でがんが見つかれば、ほぼ100%治癒します。
海外のデータによるとマンモグラフィーによって、乳がんで亡くなる女性は、20〜30%減少したと報告されています。40歳を過ぎた女性は、是非検診を受けてください。
しかし、“検診を受けていれば安心”というわけではありません。マンモグラフィーでは見つかりにくいがんや、検診と検診の間でがんが発生してくる場合もあります。従って、普段から自己検診を行うことが重要です。
自分だけは乳がんにならない、という過信は禁物です。どの女性が乳がんになっても不思議はありません。30歳を過ぎたら自己検診を始め、40歳を過ぎたらマンモグラフィー検診を受けることが重要です。
しこりがすべてがん、というわけではありませんが、自己判断は危険です。何か異常を感じた場合には、必ず乳腺を専門としている病院やクリニックを受診してください。
乳がんは早期の段階で見つければ、多くの場合治すことが可能です。普段から自己検診とマンモグラフィー検診で早期発見に努めましょう。仮に早期の段階でなくても、お薬によって再発を減らすことが可能です。気になることがあれば勇気を持って専門機関を受診してください。
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