アレルギー 子どもの病気 教えて!ドクター
春になるとピークを迎えるのが花粉症。鼻水が止まらない、目がかゆいなど、つらい症状が続き、毎年この季節は憂鬱という方も多いのではないでしょうか。
花粉症とはアレルギー性疾患のひとつです。スギ、ヒノキに代表される樹木や、草花などの花粉が抗原となって、鼻水や目のかゆみなどアレルギー反応を引き起こします。
最近はお子さまにも花粉症が増えているといわれ、「ウチの子は大丈夫?」と心配されているママもいらっしゃるはず。そこで、ママからの質問をもとに花粉症について解説します。
確かにお子さまの花粉症は年々増加傾向にありますが、赤ちゃんや小さなお子さまは、花粉に対するアレルギーは少なめです。むしろハウスダスト(家のゴミ)にアレルギーを示すケースが多いです。
そもそも花粉症とは、特定の花粉を浴びる(吸い込む)量、回数が、年齢と共に蓄積していくことで症状を引き起こす準備=感作という状態になり、さらに花粉を浴びて許容量を超えると発症(感作による発病という)するメカニズムになっています。
そのため、花粉の蓄積量が少ない赤ちゃんや小さなお子さまは発症しにくいわけですが、ここ数年は花粉の飛散量が非常に多くなっているため、許容量を突破する時期=年齢が早まっているようです。
小学校高学年の4割以上が花粉症予備軍=感作状態というデータもあります。
さて、花粉症をはじめ、アトピー性皮膚炎、 気管支ぜんそく、 アレルギー性鼻炎と一連のアレルギー性疾患があります。このアレルギー性疾患は遺伝するとよくいわれます。アレルギー性疾患は解明されてないことも多く、一概に「遺伝だから」ということはできません。
しかし、遺伝的要素もなんらかのアレルギー性疾患を引き起こす原因として考えられます。家族や親戚になんらかのアレルギー性疾患の人が多い家系。またはすでに何かしらのアレルギー性疾患を示しているお子さまが特定の花粉を浴び続けると、いずれ花粉症を引き起こす可能性が高くなるかもしれません。
残念ながら、現代の医学では、花粉症をはじめアレルギー性疾患は、一旦発症すると「完治しにくい」と言わざるをえません。
ただ、ハウスダストなどは幼少時に感受性が高くても、成長すると強く反応しなくなることもあります。環境によって花粉やハウスダストに接する機会が減ることで症状が緩和される、通年性のハウスダストアレルギーが、スギやヒノキなど特定花粉の飛ぶ時期だけに症状が出るよう変わるケースもあります。
つまり、アレルギー性疾患は年齢や環境、季節など修飾因子によるところが大きいので、治らないと諦めるのは禁物です。治療しないでいると、症状が悪化したり、慢性副鼻腔炎や滲出性中耳炎、皮膚炎といった別疾患と合併することもあるので、必ず専門医の診断を受けましょう。
治療では、まず何にアレルギーを示しているか=抗原を調べます。例えば、花粉の場合、近隣に杉林があればスギ花粉症、セイタカアワダチソウが生えていればセイタカアワダチソウ花粉症と、浴びた量が多いものが抗原として考えられます。また、小さなお子さまは、鼻水の中の好酸球というアレルギー性鼻炎の際に見られる血球で調べる場合もあります。
その後、症状に応じた治療がスタートします。抗アレルギー剤という薬を飲み続けることで症状を抑えながら、点鼻スプレーや漢方薬などを併せて使ったり、耳鼻科などへの通院や、日常生活や食生活の改善も行っていきます。
お子さまの場合、薬を飲み続けることに不安があるかもしれませんが、長期間の服用で症状が改善に向かうことが期待できます。
もちろん、薬は長期にわたって服用しても「安全」と認められているので、安心してください。まずは病院でしっかりお聞きになることでしょうね。
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