水ぼうそう 予防接種 教えて!ドクター
「ワクチンで防げる病気」を“VPD”(Vaccine Preventable Disease)といいます。水痘はVPD のひとつです。 「水痘・帯状疱疹ウイルス」に初めて感染すると水痘を発症します。一度水痘になると、普通は二度とかかることはありません。しかし、なおった後もウイルスはからだの中の神経節に感染し続け、免疫が低下したときや高齢になったときに帯状疱疹をひき起こします。
感染すると約2週間の潜伏期間の後で、顔、くび、からだに発疹が出始めます。手足にも広がりますが、発疹が多いのはからだや頭です。発熱を認めることもあります。赤い発疹(紅斑)、水を持った発疹(水疱)、かさぶた(痂皮)などいろいろな発疹を同じ時期に認めることと、髪の毛で覆われた皮膚にも発疹を認めることが特徴です。
発疹の数は個人差が大きく、数個から数百個に及ぶこともあります。子どものうちにかかると軽症とされていますが、脳炎、肺炎、皮膚の細菌感染症などで、入院が必要となることもあります。(全年齢では、1年間に約4000 人が入院し、約20 人が死亡していると推定されています。)1歳6ヵ月頃までに水痘にかかると、帯状疱疹を発症しやすくなります。
水痘にかかった人の気管の分泌物、水痘、帯状疱疹の水疱からウイルスが排出されます。他の人にうつす期間は発疹が出始める1~2日前から発疹がすべてかさぶたになるまでです。すべての発疹がかさぶたになるまでは学校、幼稚園はお休みです。感染力は非常に強く、家族の中では80 ~90%が感染します。
健康な小児は爪をきちんと切るなど皮膚が細菌感染をおこさないように注意すれば、約1週間で自然になおります。発疹が多い人、アトピー性皮膚炎やその他の基礎疾患のある人は早期に抗ウイルス薬をのむことで、合併症、重症化を予防することができます。
水痘ワクチンは日本で開発されたワクチンで、1歳以上の子どもに接種できます。副作用はほとんどありません。任意接種のため、接種率が低く、水痘患者の明らかな減少は認めていません。保育園、幼稚園などの集団生活で、水痘が流行した場合の水痘ワクチンの有効率は約70 %といわれています。
水痘ワクチンを接種した後で水痘にかかっても、多くの人は発疹は少なく、かさぶたにもならず、軽くすみます。しかし、接種して時間がたってから水痘にかかると軽症ではない場合もあります。
水痘の患者さんに接触してから72時間以内にワクチンを接種すれば、水痘の発症を予防できるか、発症しても軽症ですむ可能性があります。
外国でも日本で開発されたワクチン株が使われています。定期接種としている国の中には、より確実な免疫をつけるために麻疹風疹ワクチンなどと同じように2回の接種をおこなっている国があります。日本でも「VPD を知って子どもを守ろう。」の会の予防接種スケジュール、日本小児科学会の予防接種スケジュールはともに水痘ワクチンを2回接種することをすすめています。
米国では帯状疱疹予防のために水痘に対する免疫が低下してくる60歳以上の高齢者に、帯状疱疹ワクチン(水痘ワクチンと同じ)の接種がすすめられています。日本でも水痘に対する免疫が低下した高齢者に水痘ワクチンを接種することができます。
今までの日本の予防接種制度はVPD から子どもを守るには不十分でした。新たに作られた「VPD を知って子どもを守ろう。」の会のスケジュールや日本小児科学会のスケジュールを参考にして、積極的にワクチンを接種し、VPD から子どもを守ることが重要です。
大切な子どもをVPD(ワクチンで防げる病気)から守るためには、接種できる時期になったらできるだけベストのタイミングで、忘れずに予防接種を受けることが重要です。このスケジュールは「VPDを知って、子どもを守ろう。」の会によるもっとも早期に免疫をつけるための提案です。お子さまの予防接種に関しては、地域ごとの接種方法やVPDの流行状況に応じて、かかりつけ医とご相談のうえスケジュールを立てましょう。
(予防接種に関する情報は、「VPDを知って、子どもを守ろう。の会」ウェブサイトがおすすめです。URL: http://www.know-vpd.jp/)
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