麻疹・風疹(MR) 予防接種 教えて!ドクター
皆さんは、「ほうそう」や「はしか」ってご存じでしょうか。ほうそう(疱瘡)は天然痘のことで、顔にあばた(くぼみ)が残るので面定め(つらさだめ)、はしかは麻疹のことで、死ぬことがあるので命定め(いのちさだめ)、と昔の人は言いました。つまり麻疹は昔から死ぬ病気として怖れられていたのです。そして、ほうそうは種痘(ワクチン)のおかげで1980年に根絶しましたが、麻疹は流行を繰り返しています。なぜでしょうか。
麻疹は、麻疹ウイルスが感染することにより、からだじゅうに発疹(ボツボツ)ができて高熱が出る感染症です。感染力がものすごく強くて、治療薬がなくて、しかも脳炎や肺炎で死んでしまうことがある、大変こわくて重い病気です。でも麻疹は、ワクチンで予防することができます。それなのに日本は2007年、高校生・大学生を中心に大流行し社会問題にまでなりました。それは米国が1989年からワクチンを2回接種にして2000年に麻疹を排除できたのに対し、日本は2005年まで1回しか接種していなかったからです。
日本はやっと2006年から麻疹風疹混合ワクチン(MRワクチン)を2回(1歳と年長さん)接種することになりました。2回接種することにより大人になっても抗体が残るので、麻疹・風疹にかからなくなるのです。ここで大切なのは、1歳の誕生日から「第1期」を、年長さんの4月1日から「第2期」を、なるべく早く・確実に接種することです。皆さんもぜひ今、母子手帳とスケジュール手帳に印(しるし)を付けてください。そして「その時」が来たら、かかりつけのお医者さんに予約して、必ず接種を受けてください。
2007年に日本政府は、「2012年までに麻疹を排除する」ことを世界に向かって宣言しました。しかも2008年から5年間は、中学1年生(第3期)と高校3年生世代(第4期)にもワクチンを接種し、社会全体の免疫獲得に努めています。このようにして多くの方々がワクチンを一生懸命受けた結果、2008年に1万1015人もいた麻疹患者は、2009年には741人、2010年には457人へと著しく減少しました。もう少しです。でも麻疹排除の定義に達するためには、麻疹患者・年間120人以下が目標です。もう少しですが、そのもう少しが大変なのです。
子どもたちが麻疹で亡くなってしまうなんて考えたくありません。そのためには、お子さまが1歳になったら、すぐにしっかりワクチンを打って、お互いを守り合うことが大切です。そうすれば結果的に、1歳未満の赤ちゃんの感染を防ぐこともできます。まずは親御さんがお子さまにMRワクチンを2回しっかりとプレゼントして、怖ろしい麻疹を撲滅しましょう。1歳の誕生日と、年長さんの4月1日が「その時」です。
■MRワクチンを2回打って、はしか撲滅!
■ はしかにならない、はしかにさせない!
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