皮ふ・スキンケア 子どもの病気 教えて!ドクター
暑い夏が過ぎると皮膚は急に乾燥してきます。子どもの皮膚は薄く、皮膚バリアー機能が未熟です。外からの刺激に弱く、水分を保持する機能も未熟な為に、特に冬は乾燥しやすくなります。健やかな皮膚を保つためのスキンケアはとても大切です。
清潔にするといっても、皮膚を洗いすぎないこと、こすらないで洗うことがポイントです。すすぎ落ちが良い低刺激、弱酸性の洗浄剤をネットでしっかり泡立て、できるだけ細かい泡をテニスボール大ぐらい作ります。その泡を顔、腕体に手でなでるように付けます。耳の裏、首、脇の下、ひざ裏、股、手指、足の指も泡で丁寧にやさしく洗いましょう。特に皮膚の薄い頬はなるべくこすらないで泡をつけるだけでも構いません。洗浄剤は髪の毛も顔も体も兼用で洗えるものが便利です。ナイロンタオル、スボンジ、タオルでこすらないようにしましょう。洗い終わったら、洗浄剤が残りやすい耳の裏、首、脇の下などはシャワーで充分洗い流します。入浴はぬるめの3度程度で手短に。お風呂から出たら乾いた柔らかいタオルで、こすらないように皮膚の水分をとります。この際もくびれの部分は丁寧に水気を取り、速やかに乾燥させます。
保湿は入浴後、5分以内に「できるだけ一刻も早く保湿すること」がポイントです。保湿剤をこすらないようにやさしく肌がしっとりするぐらい、たっぷり塗る様にします。夏は1回の保湿でも乾燥を防げますが、冬は1日2回塗りましょう。朝夕塗ることで皮膚の異常を察知できますし、親子のスキンシップにもなります。
保湿剤は大まかに2種類あります。1つは皮膚からの水分の蒸発を防ぐ保湿剤で、いわば皮膚にラップをして水分を逃がさないような作用です。一般的なものはワセリンと椿油、オリーブ油などの植物油があります。
2つ目は皮膚の水分を保つ保湿剤です。皮膚の水分を逃がさないように保持するものです。尿素含有軟膏、クリームの水分保持作用は高めですが、皮膚のバリアー機能を低下させるので、皮膚が薄い子どもにはお勧めしません。その他ヘパリン類似物質(ヒルドイド)、スクワラン、ヒアルロン酸、セラミドなどがあります。皮膚がしっとり保て、使い心地が良ければ好みで乳液でも、クリームでも構いません。
紫外線は1年中地上に降り注いでいます。冬は夏ほどではありませんが、長い時間戸外に出かけるときは、日焼け止めを忘れないようにしましょう。
アトピー性皮膚炎の原因は乾燥肌、敏感肌になりやすい皮膚バリアー機能異常、発汗異常、ストレスなどの非アレルギー性と、食物、ダニなどが原因のアレルギー性があります。
乳幼児期の指しゃぶり、離乳食が始まる時期は、頬、口の周囲が赤くただれ、グチュグチュしてきます。よだれ皮膚炎、食べこぼし皮膚炎の症状をアトピー性皮膚炎と思い、すべて食物が原因と思い込みがちです。
少し前までは食物アレルギーは口からの消化管から始まると言われていましたが、最近では「食物アレルゲンの感作は皮膚から始まる」と言われています。
そのためには新生児期からの毎日のスキンケアが大切です。保湿をすることで皮膚のバリアーを壊さないように、皮膚を傷つけないようにして、食物抗原やダニの侵入を防ぎます。皮膚をきれいにすることとダニの少ない環境整備は今後のアレルギー疾患の予防にもなります。
傷付いた皮膚の治療にはステロイド軟膏が必要です。適切な皮膚炎の治療とスキンケアをすることが大切です。
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